第5章 契約
第77話 風の眷属
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。こいつも確か、名状し難きもの……。もしくは、名付けざられしものハスターの眷属神。ビヤーキーよりは高位に上げられるとは思いますが、そんな事は現状ではあまり関係のない事ですか。
現在、俺の手元に存在して居る式神はシルフとアガレス。この二体を、運命の槍を使用出来るようになるまでの間の護衛役に現界させて仕舞うと、転移魔法や時間を操る能力を失う事と成り……。
そうかと言って、このままビヤーキーの攻撃を捌きながら、イタカの相手が出来るかと言うと、それは素直に無理、と言わざるを得ないのですが。
再び転移。その移動した先にシャルが召喚した風龍が放つ衝撃波が殺到しつつ有ったビヤーキーを一網打尽にした。
この辺りの呼吸も昔……。いや、記憶のまま。
(私が囮に成りますよ、ダイ。貴方には何度か生命を助けられた覚えが有りますから)
上空の灼眼に一度視線を送った後に、黒い翼を持つ少女がそう言う。その瞬間に、接近しつつ有ったビヤーキーが、彼女の放った氷の刃に四散させられた。
その彼女の瞳にはある程度の覚悟の色が浮かぶ。
正直に言うと手詰まりの状況なだけに、このシャルの申し出は正直に言うと有り難い。
しかし――
「確かに、ビヤーキーだけならばシャルだけでもどうにかなる。せやけど、イタカはヤバい」
俺の本来なら有り得ない記憶と、更にここに現れてから、今までに彼女が示して来た能力から考えるならば、これが妥当。まして、小神とは言えイタカは神。神に葬られた存在に対して、蘇生魔法が使用可能かどうかは微妙。
今までの経験から導き出せる答えでは無理。神が直接関係した戦いで死亡した人間の蘇生が成功した例は有りません。
俺とシャルの深刻な会話の最中も繰り出される絶対零度の拳。息を吐くように容易く放たれる蒼い雷撃。そして、その間隙を縫うかのように接近を繰り返すビヤーキーの群れ。
その二種類の攻撃……。イタカの危険な攻撃は転移魔法を行使して回避し、ビヤーキーの攻撃は通常の回避。そして、シャルの風招術により攻撃を行う。
このパターンで何処まで持たせる事が出来るのか。何度目かの跳躍の後、突っ込んで来たビヤーキーの一団を細かな空中機動で回避しながら、そう考える俺。
まして、ゴアルスハウゼンの村は未だしも、その他の周辺の村に、ビヤーキーやイタカが向かっていないとは限りません。
このまま時が過ぎると、不必要な人的な被害が大きくなる可能性が大きく成るばかり。
確かに、俺に直接関係のない人間ばかりだと切り捨てる事は可能ですし、良心が痛むのは俺ではなく、ビヤーキーやイタカを召喚したナナシの権兵衛の方だと思い込む事も出来ます。
しかし、それは……。
世
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