第5章 契約
第77話 風の眷属
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、今度は冷気斬を放つ翼人の少女……。
その瞬間、今、目の前に居る翼を持つ少女の姿形に重なる有り得ない記憶。
その記憶の中に存在する少女の名前は確か――――
「……オルニス族のシャル?」
オルニス族。鳥のような羽根を持つ事からそう呼ばれるように成った一族の少女。ここ、ハルケギニアとは違う異世界に存在して居た翼の有る一族の少女の名前。そしてその名前を口にすると同時に、先ほど彼女の口にしたアルテミシアと言う名前に重なる一人の少女の姿。エルピス族。……確か、希望と言う意味を持つ一族の少女の名前。
しかし、現代社会に暮らして来た俺に……。
(なんですか、ダイ)
当たり前のような雰囲気で、答えを返して来る翼を持つ少女。
但し何故、俺。現代日本に暮らして居た武神忍と言う偽りの名を名乗る少年に、そんな怪しい異世界……明らかにハルケギニア以外のファンタジー世界の記憶が存在して居るのかが判りませんが、これも転生の記憶と言う事なのでしょうか。
そして、彼女。シャルと言う名前のこのハルケギニア世界の翼人に良く似た種族オルニス族の少女の言葉が俺にだけ通じていた理由は、彼女の言葉を聞いた瞬間に何処か記憶の奥深くに沈められていた思い出が呼び覚まされた、と考えた方が判り易いですか。
(しかし……)
次から次へと襲い掛かって来るビヤーキーを相手にしながら、その形の良い眉根を寄せるシャル。
但し、これは危機的状況に立たされていると言う雰囲気ではない。
(アルテミシアが居たのなら。……蒼穹を飛ぶモノに対する特攻と成る大地母神より加護を与えられた紅き弓が有れば、幾万の羽根の有る悪意に襲われたとしても一瞬で葬り去る事も出来るのですが)
現状ではない袖は振れない、そう言う事ですか。
シャルは厳しい瞳で呟いた。
そう。確かに、現状で俺や彼女に危険は少ないでしょう。確かに、ビヤーキーも肉食の危険な魔獣には違い有りません。
しかし、クトゥルフの邪神に繋がる存在の中の危険度で言うならば、もっと危険な存在は居り、この程度の魔獣に分類される連中ならば単体での危険度は低いと言うべきでしょう。
俺やタバサ。そして、オルニス族のシャルを相手とするのなら……。
但し、いくら俺や、記憶の中に存在するシャルで有ったとしても、これほどの数のビヤーキーを一瞬で屠る事など不可能。封じるにしても、それなりの準備と言う物も必要として居ます。
まして、ここまで圧倒的な能力差を示す相手を何時までも襲い続けるとは思えません。
今、現在襲われつつあるゴアルスハウゼンの村のように、他の近隣の村が襲われていないとは限りませんから。
その瞬間――――
遠雷?
まるで遠くの山々から響くような、
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