第5章 契約
第77話 風の眷属
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人の少女。しかし、其処にかなりの違和感が存在する。
そもそも、そのダイと言うのは一体……。
(所で、この騒ぎは一体、何事なのですか?)
俺が答えを返す前に、現在の状況の説明を要求して来る翼人の少女。
その最中もビヤーキーの襲撃が止む事はなく、俺とタバサ。そして新たに現われた翼人の少女を襲う。
しかし、その程度の攻撃など俺には無意味。そして、新たに現われた少女も俺とそう違わない空中機動を行える事から考えると、あの黒き羽根は殆んど飾りに等しい存在。おそらく、彼女の周囲の活性化した風の小さき精霊たちの作用によって宙に浮いていると思われる。
「ここに封じられていた魔物……。遙か彼方から神代に飛来した魔物の封印を解いたヤツが居た。これはそれの後始末や」
敢えて翼人のコミュニティの惨状に付いては口にせず、俺はそう答えた。
(判りました。それで、ダイ。アルテミシアは何処に居るのです?)
再び、俺の事をダイと呼び掛けながら、そう言う意味不明の内容を問い掛けて来る翼人の少女。
その彼女と俺、そしてタバサに無意味な攻撃を繰り返すビヤーキー。
一瞬の停滞すら行う事もなく、森の上空を通常の翼もつ生命体には不可能な動きでビヤーキーに因る攻撃から回避を続けながら、俺は紫電を。翼人の少女は風の精霊力を用いて無力化して行く。
但し、その動きの最中に、次の彼女の動きが理解出来ている自分が居る事に気付く。
いや、何故か、気付かされた。
俺の紫電が前方より接近して来た一団のビヤーキーを無力化した瞬間、彼女の風招術の中でも上位に分類される、風で出来上がった龍を召喚する風招龍が唱えられ、上空より接近して来ていた一団を無効化。
その安全地帯と成った空間に二人。……正確には、俺の腕の中には俺と同期し、精神を俺の精神と共に存在させて居るタバサと俺、それに翼人の少女の三人が移動した。
このむずむずとした、思い出せそうで思い出せないこの感覚。身体の何処か奥深くから湧き上がって来る焦燥にも似た気持ち。
それは失って仕舞った何かを思い出せそうで、思い出せない焦り。
酷く懐かしい。しかし、思い出す事が出来ない何か。
そう。間違いない。俺は彼女の事も知って居た。何処かの世界、何処かの時代で絆を結んだ相手。
「悪い。今の俺は月の女神を連れていないんや」
何故だか、自然にそう答える俺。その俺の言葉に、驚いて居るのはおそらく俺自身だけ。俺の精神と共に存在しているタバサが驚く事もなければ、翼人の少女が驚く事もなかった。
(そうですか。どうせ、また貴方が逃げて来たのでしょうが)
何時ものように少し呆れた雰囲気でそう答えながら
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