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Fate/stay night -the last fencer-
第二部
魔術師たちの安寧
遠坂凛とアーチャー
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怖い。怖すぎる。
それからなんとなく次の展開が予想出来るので、答えは事前に用意しておく。
「ちょ、まっ、なんでアンタ家に居るのよ!!?」
「訪ねてきたからだが?」
「そういうことじゃないわよ! どうやって中に入ったのよ!」
「アーチャーが通してくれたわけだが?」
「何ですって!!」
間髪入れずに返答する。
俺の最後の返答から、体ごとアーチャーへ向き直る。人を倒せそうなほどの眼力を込めてアーチャーを睨み付ける凛。
そこらの一般人ならビビッて怯んでしまうほどのレベルだが、已然として飄々とした態度を崩さないアーチャー。
その様子に凛も怒涛の剣幕を一旦収め、努めて冷静になる。
「アーチャー、これはどういうこと」
「フェンサーとそのマスターが客人として訪れている」
「じゃあ何故その二人が家の中に入って、あまつさえ私の
お気に入り
(
ダージリン
)
を飲んでいるのかしら。私、そんな許可出した?」
「いいや。だが一つ指示は受けたな。代わりに来訪者の応対をしろと」
「それで仮にも敵のマスターとサーヴァントを勝手に家に招き入れたの。いよいよアンタとの関係も決着をつけなきゃなんないみたいね」
極めて落ち着いた様子での言い争いだったが、実際は一触即発な空気。
今はまだ保たれているこの静けさも、嵐の前の予兆という感じがしてならない。
聖杯戦争という戦略上で見れば二人の仲違いは歓迎ものだが、今は交渉の為にここに来ている。
黙って見過ごすわけにはいかず、もしかしたら飛び火どころか矛先がこちらに向いてもおかしくない。
彼女らのケンカの原因の一端として、どうやら俺がこの場を収めねばならないようだ。
ふふふ、任せろ。我に秘策アリ!
「いやぁ"アーチャー"がやらかしちゃったかー、"あっちゃー"……なんつって──こッふっ!!?」
突如横から襲い掛かる強烈な衝撃。
肺の中の空気が押し出されるような嗚咽が漏れ、スロー再生のように頭からゆっくりと机に突っ伏した。
自分の身体を抱きしめるようにして左脇腹を抑えながら、突然の
暴挙
(
肘鉄
)
をくれやがった犯人を睨む。
「マスターへの評価はサーヴァントの評価でもあるの。自分の品位を下げるような低劣な発言は控えて頂けません?」
「っ! ……っ! っ…………」
反論しようにも声にもならない吐息が漏れるのみ。
痛みを誤魔化すために、無意識に頭をガン、ガンと打ち付ける。
声が出ない故に、抗議の意味を含めての机にガンガンでもある。確か似たようなフレーズのCMがあったような気がする。
痛みに悶えながらリンとアーチャーの方を見やる。
「────────」
「────────」
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