暁 〜小説投稿サイト〜
Fate/stay night -the last fencer-
第二部
魔術師たちの安寧
遠坂凛とアーチャー
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したせいで思考が上手く働いていない。
敵意があればさすがに感じられるはずなので、現状アーチャーに戦闘意志がないのは間違いない。
(ねえ、いいの? ちょっと信用し過ぎじゃないかしら)
(何のためにここに来たんだよ。これがキャスターとの交渉とかなら警戒するが、今の状況的に凛まで疑ってたら身動きできなくなるぞ)
自分たちに有利な場所へ引き込まれているという見方もあるが、まさか好んで自分の家を戦場にしようなんて凛が考えるとは思えない。
こちらが万全な状態でないことは知っているはずだし、もしも撃退が目的なら凛の性格上真っ向から挑んでくるだろう。
最悪の想定としては、アーチャーが一人でこちらを倒す算段を立てている場合。
マスターの了解なし援護なしで戦うなら、土地としての優位性を利用することも考えられる。
以前に一度、指示にない共闘者ごと巻き込む爆撃を経験した立場としては、懸念事項であることは確かだ。
学園での情報交換のときに話を聞いただけだが、士郎が釣られた夜の柳桐寺でのキャスターとの戦闘以前に単騎出撃自体が独断だったというし。
…………現状の理知的な姿とは裏腹に、なんか言うこと聞いていない印象が強いな。
(ヤダ、よく考えたら怖くなってきちゃった……フェンサーさん先行しておねがーい)
(いきなり女々しくなるのやめてよ気持ち悪い)
ちょっとふざけただけなのに今のはひどくね?
いや先行してほしいのは割りとマジなんだけどさ。
(引き返す気はないんでしょ。ほら、行くわよ)
あまり警戒する素振りも見せず、スタスタとアーチャーの後に続くフェンサー。
とりあえずフェンサーが歩いた場所に罠はないはずだ。
人間にだけ効く罠もあるかもしれないが、その場合サーヴァントに侵入を許す時点で優先順位がおかしい。
(トラップは無しか……それより随分無警戒に進んだな、おまえこそ気にしなさすぎじゃないのか?)
(失礼ね。ちゃんと進路は精査したわよ。そもそも今回はアーチャーが内側から開いてる時点で罠なんてないの)
けど断言はできなくないか? と言いたかったが実際に罠が無いので、論負けしそうだからやめることにする。
現在地、遠坂邸宅内。
日本とは思えない洋館の内装に感心しつつ、客間へと案内されソファに腰かけた。
玄関先からここまでは何も起こらなかった。
後はアーチャーがこの館の主である凛を連れてきてくれれば、心配の種が一つ減るのだが…………
「………………」
「………………」
「………………」
待て待て、待ってくれ。
客間に案内されたまではいいが、何でアーチャーは凛を呼びにも行かずここで待機してるんだ。
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