本編 第一部
三章 「真心の隣に友情はあったりする」
第十五話「授業風景『数遊び』」
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「あ、そっかノート提出、今日だっけ」
「それと新しいノートを用意するのもお忘れなく」
「あ、やっべ、新しいノートなんか買ってねーよ、でも今のノートは提出しちゃうし」
「はい、これをお使いなさいな」
「お、い、いいの?あとで返せとかなしだぞ」
「あなたの行動パターンなど先読みしなくてもちょっと頭を回せば分かりましてよ、まったくこれだから運動だけの運動バカは」
「はは、でもてっことはわたしのためにわざわざノートを一冊余分に買ってくれたってことだよな。高町はなんのかんのいってやさしいよな」
「そうではありませんわ」
「えっちがうの?」
「正確には、あと三回あなたはノートを二学期中に用意できない日が来ます」
「へっ?」
「それは、あなたの不注意ですが、いくらあなたに注意を促してもあまり効果がないようですのでノートを一冊進呈することにしたのです」
「ていうことは、今日、わたしがノート忘れるのは」
「もちろん、読んでいましたわ」
「お、おまえどんだけ、頭がきれるんだよ、エスパーか!?おまえは」
「ふふ、これで兵法などがいかに有効な処世術か、少しはわかっていただけましたでしょうか?」
「く、くうう」
「ほおっほっほ。あ、あれ?」
「ん、どした?」
「わたしの筆箱の中身が消えている」
「ん?なんだ筆箱だけ持ってきて中身を忘れたのか」
「い、いえ一時間目はあったはず。そうだ桜花さんに休み時間に筆箱を貸したのでしたわ、でっでも筆箱はここにあるし」
「お、おい、ともの奴おまえの筆記用具そっくりそのまま使ってるぞ?」
「わ、わたくしとしたことが。わたくし、なぜか桜花さんの行動だけは読めないのです」
「あー、そりゃ、たぶんあいつ天然入ってるし、剣道じゃ、学校の伝説になってるくらいだからな。あいつにやられた奴の話じゃあ計算高い奴ほどあいつには敵わないらしいぜ」
「ま、まさかこんなに近くに好敵手がいたとは、いいでしょう。わたしも全身全霊を持ってお相手しますわ。というわけで大橋さん、ノートを進呈する代わりに筆記用具を貸してくださいな」
「高町、もうそこでおまえ、負けてるよ」
こうして、数学の時間は過ぎていったのでした。
白川先生は後にノートを返すさい。豊村 伊佐と細川 百合にだけは20ページに及ぶ数式の付録をつけて返したという。伊佐も細川も面白そうにそれを読んでいたという。彼女らに白川先生はどんな数式を教えたのだろうか?もし、反陽子爆弾のような恐ろしいテクノロジーの数式なら伊佐も細川もそれを一切読まず逆に先生に怒って突っ返したかもしれない。白川先生を良く知ってる理科の五十嵐教諭は語る。「白川先生は、あの小さな体に人を育てる種をいっぱい隠し持ってるんだ。そして何故か、白川先生の容姿が子供並なのは、種が勝手に芽吹かないように、眠らせ
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