本編 第一部
三章 「真心の隣に友情はあったりする」
第十五話「授業風景『数遊び』」
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ノートを見てみる。
「ま、でもこんな低級な問題がとけないようじゃ、まだまだ人類の進歩は先ですねー」と、二人の夏の特別スペシャルの問題欄に鼻歌まじりにペケを描く白川先生。その下の白川先生の数式文を見て、ふたりはすこし青ざめる。
「おっと、長話をしてしまいました。はーい、みんな授業を初めまーす。ノートを提出してください。ノートは新しいのを別に用意してありますねー?では、二学期への対策に少しだけですが二学期の分のお勉強をざっとですがやってしまいましょう、教科書は六十一ページ・・・・・・」
「だがまあ、なあ高ちゃん」
「ああ、賢ちゃん」
ふたりは、数式の最後の方を見て思う。数式の最後に書かれていたのは英語のことわざのようだった。There is a always light behind the clouds 「雲の向こうは、いつも青空」
「あの頭にはおよそ悪意というもんがないわな」
「ああ、だってちんちくりんの前に元気なお子さまだからな」
「おい、そこのバカふたり、いい加減にしないとわたしが怒るぞ?」そういったのはクラスの中で細川 百合と並んで夏の特別スペシャルを軽々と解いた豊村 伊佐だった。
「ねえ、豊村さん、あのスペシャル問題、解けた?わたしはぜんぜんダメだったよー」
「あ、ああ。ともちゃんは・・・・・・出来なかったんだ。あの問題・・・・・・」
「わたしには少しっていうか無理だよ。一週間くらい考えてうん、わたしには無理って納得しちゃったもん」
とんとん、いつものように後ろから静かに肩をたたく細川さん。
「大丈夫、わたしも解けたから。豊村さんはもっと胸をはっていいんだよ、だれにでもできることじゃないんだから」細川さんは、伊佐が困っているときいつもこんなふうに勇気づけてくれる。
「くっわたくしとしたことがこんな問題がとけないなんて。十万通りの手を考えつくしたのに白川先生はわたくしのうえをいく軍略を?」
「え、高町は、なに?これ少しはとけそうだったの?わたしはさー、もうこの数字の羅列で頭いたくなってさー」
「なにを言ってるのです、大橋さん、こと数学は、兵の全様や相手の国の国力を測るにとても重要なのですよ。そして自分の力量をそれに照らし合わせる、敵を知り己を知れば百戦始うべからずですわ」
「・・・・・・・高町はいつもそんなこと考えてんのか?別にだれかと戦争するわけじゃないんだから、もっと平和的に行こうぜ?ほら、だからその年で肩こりなんかになるんだよ」
「わ、わたくしの肩こりは、関係ないでしょう」
「そうか?なんならわたしが柔軟の仕方でも教えてやろうか、肩こりなんか一発でなくなるぜ?その貧乳にも効くぜ?」
「とんでもなく巨大で余計なお世話でしてよ。それよりもさっさとノートをお出しなさい、前の人に渡さなければならないのですから」
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