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魔王の友を持つ魔王
§52 小ネタ集part4
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て「宇宙人の残した記号」くらいに思ってくれないと張り合いがない。

「強行突破しか、ねぇか」

――みしっ

「!?」

 覚悟を決めようとして踏み出した足が、何かを踏んだ。しかも限りなくイヤな効果音付きで。

「うお!?」

 人が、倒れている。この辺りではそこそこ珍しい黒髪の少年だ。動かない辺り死体だろうか? まだ温かいし死んですぐなのだろう。

「って、それどころじゃねぇ!! おい、お前悪いが借りるぞ!!」

 彼は死体を壁に立てかける。壁にもたれかかるように。そしておもむろに距離をとる。

「よっ……!!」

 助走をつけて、跳躍。死体の頭を踏み台に、更に跳躍。壁に手が届いた。死体が倒れ落ちすごい音がした気がするが、構いやしない。どうせ死人に口なし、だ。

「手が届けば……ッ!!」

 その勢いのまま、躰を持ち上げて――彼は壁の奥へと姿を消した。

「何処行った!?」

「確かに追い込んだ筈なのに……」

「畜生、またあのペテン師にしてやられた!!」

「まだこの辺に居る筈だ!! 手分けして探すぞ!!」

 壁の向こうで物騒な声がいくつも聞こえる。本当に、危機一髪だった。

「っぶねー……」

 とりあえず危機は去った。このまま帰っても良いが、その前にあの死体に一言礼を言っておかねばなるまい。

「なぁ、死体さんよ。あんたのおかげで無事に逃げられたぜ、あんがとよ」

 どうせ死体なのだ。返事は期待していない。

「まぁよ、次来るときはとりあえず供養してやるから……あー、テキトーに花でも添えてやる。だから祟らんでくれや」

 さて帰るか、と足を踏み出した時、ふと視線が足元へ行った。それは本当に偶然だった。壁の上に人影があることに気付いたのは。

「すげぇ軽いノリだなオイ」

「!?」

 まさか、まだ残ってる追手が居たのか、油断した!!

「マズったな……!?」

 こっちはもうヘトヘトだ。応援を呼ばれたらもう逃げられない。まして単独であの壁を登ってくる猛者など相手に出来る訳が無い。そう判断し、降参のポーズとともに振り向いて――硬直した。

「し、死体のガキ……!?」

「いや、死んでないから」

 魔術師としての彼の勘が、この少年は危険だと警告する。護身用の儀礼用の剣に懐でそっと触れるがすぐに離す。彼に勝てる気が、しなかった。

「うん。正しい判断だ。その剣如き(・・)で、僕を殺す事なんか出来ないよ」

「――!!」

 震えた。恐怖が止まらない。ダボダボの服を着ているから、剣の存在などわからない筈なのに、奴はその存在を察知した。その上で「殺せない」と断定した。おそらく奴とは立っている土俵が違い過ぎる。畜生なんてこ
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