呉の姫
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「おい、耳塞いでおきな」
暁がそう言った直後、突然大きな音がした
あわてて耳を塞ぎ音のする方向を見た
大きく乾いた音……暁が妙な筒のような物を持っているが……
一体あれは何だ?細長い筒の先から火が出ている……?
それに鼻を刺す様な妙な臭いが
するが一体何だ?
コイツは何をしているん……だ
信じられない光景を目の当たりにした
馬鹿な……弓を放っている賊達の頭が弾けている……!
まさか!妖術か!?そうでなければ……
こうして考えている間にも次々と賊を葬っていく暁
この男は普通ではない……
得体の知れない恐怖が身体を支配していく
甘寧は無意識のうちに孫権の側に寄り守るように後ろに下げる
コイツはやはり危険過ぎる……
甘寧は更に暁に対する警戒心を強めたのであった
絶え間なく響く銃声と怒号
何処からそんなに湧いてくるのか?て思いたくなる程の賊
ひたすら弾幕を張り牽制するしかなかった……
バン!バン!バン!バン!カチン
スライドロックされ弾切れになるタボール
空の弾倉を投げ捨て忌々しく舌打ちする
切りがねぇ……このままじゃあ押しきられるのも時間の問題だっ
「おい!此処は俺が抑えるから逃げろ!」
弾倉をポーチから取りだしながら叫ぶように暁が言う
撃っても撃っても湧いて出てくる賊に形勢不利と判断した
くそったれ、数の暴力には敵わないか……
オマケに徐々に距離を詰められていやがる
銃1挺じゃあ火力が足らん!
いざ反撃をしようと身構えていると後ろが何やら騒がしい
おいおい……早く下がってくれないか
時間稼ぎも楽じゃあねぇんだよ
ガシャ、ジャッキン!
新しい弾倉を装填しスライドを引き
無防備に身体を晒す馬鹿な奴を撃ち抜いていった
【逃げろ】 この言葉が私の身体を、心を縛りつける
また逃げる、仲間を見捨て無様に逃げ出す
何も出来ぬまま……何もせぬまま……逃げる
嫌、嫌よ……絶対にっ
「嫌よっ!」
「蓮華様!奴の言う通りです!下がりましょう!」
「もう【家族】を見捨てるのは絶対に嫌よ!」
「蓮華様……」
甘寧は孫権の悲痛な表情に言葉を失う
それ以上、声をかける事が出来なかった
袁術の配下に置かれても孫家を信じて付いてきてくれた……
そんな部下達が命を捨て退路を切り開き
私を……生かしてくれた
私は……私はまた何も出来ないの……
此処まで来る間に部下を残し敗走して
そして……私はまた恩人を残し逃げようとしている
お母様や姉様なら……どうするのだろう?
目の前で闘う男の大きな背中を見ながら考えていると……
急にガシッと頭を撫でられた
ゴツゴツした堅い手だが……何故か凄く安心する
「心配すんな、こんな所で死ぬつもりはねぇ」
敵の方を見ながら暁が答えた
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