一部【スサノオ】
九章【罪】
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零へと走り出すジャック。
だがそれと同時にヒトガタもジャックの方へと走り出す。
「まずいッ!」
うかつに動いた自らを責めるジャック。
迫るヒトガタに、ジャックは覚悟し目を固く閉じる。
が、数秒…
「まじ…か」
うっすら目を開けると、そこにはヒトガタの姿はなく。
居るのは零と少数残ったオンショウだけだった。
「は、ははは…」
その場へとジャックはバタっと仰向けに倒れる。
「忘れてた…そういや死なないんだった…」
あまりのリアリティと先ほどまで直面していた『人間の死』からかそのことをすっかり忘れていたジャック。
だが、安心からかやられても死ぬことはないということを思い出し笑いが込み上げる。
ひとしきり笑うと、ジャックは立ち上がり零へと歩み寄る。
「大丈夫か?ほらっ」
手を差し伸べるジャック。
だが、零は…
「ごめんなさい…俺が…俺が邪魔しなければ…」
「んなこといいって。お前の行動は人として間違っちゃいなかったよ。まぁ、俺の行動は状況的に間違っていなかったとも思うけどな」
ニカッと笑って零の手を引き力強く立ち上がらせるジャック。
「でも…」
まだ続けようとする零。
しかし…
ガッ、という音と共に零はよろける。
それは、ジャックが零の頬を殴り飛ばした音だった。
「それ以上言うな。やっちまったもんは仕方ねぇんだ…幸いアイツを取り逃がしたところで『こっちの世界』じゃもう死人はでねぇ」
何をされたのかよくわかってない零をよそに真剣な顔つきでつづけるジャック。
「その後の処理はGMやフロンティア4の精鋭とやらがしてくれるんだろうさ。……だけどよ、俺たちの不始末は俺たちで片付けないといけないよな?」
「え、あ…」
ジャックは再びニカッと笑みを見せる。
「いつまでも呆けてるなよ!お前のお人よしな行動のせい、俺やクラウリーの未熟さのせいでまいちまった種だ…やろうぜ、俺たちでよ」
「あ、はい…」
よくはわからない…よくはわからないが、とんでもない失敗をしてしまった自分を軽蔑も見捨てもせず……それどころか『一緒に』やろうと再び手を差し伸べるジャックに零は不思議な感覚にとらわれた。
「逃げんなよ?零はなんかそんな感じっぽそうだからな!」
そう言ってジャックは悪戯っぽく笑って見せる。
「はいっ!」
少しだけ、この不思議な感覚がわかった気がする。
これが、決意、意志…。
目の前で失敗してもなお見捨てないジャックを裏切らないためにも、期待してくれていたウォルターの期待を裏切らないためにも…やり遂げなければいけないという決意。
「さてと…」
ジャックは再び銃を取り、オンショウへと向
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