一部【スサノオ】
九章【罪】
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「俺には、アンタに全部押し付けて俺だけ手を汚さないなんてこと…できねぇよ」
震えるジャックの手。
無理もない。目の前のオンショウは確かにネイティブエネミーであるが、同時に人間なのだから。
「そう、ですわね」
ジャックの言葉に、クラウリーもまたクーフーリン発動により更に無骨な形状と化した槍を振るい駆け出す。
凄惨な光景の中に舞う華麗な槍捌きは、確実に一体一体オンショウのコアを破壊し討伐してゆく。
時にその強大な力によろけながらも、必死にキッと目を見開き苦しまぬよう一瞬で討伐する。
「君たち…」
ジャック達の予想外の行動に驚き、ナノロッドを下げるウォルター。
しかし、そんな中で零は動けないでいた。
いや、零のその状況こそ普通なのかもしれない。
どう割り切ろうと目の前に居るそれは人間なのだから。
人を殺す覚悟など、できるはずがない。
「や、やめろ!その人たちは人間なんだろ!?」
零の取った選択は、オンショウをかばう事だった。
「零!そんな偽善的な事言うなッ!こいつらを殺してやることが…それがこいつらにとっても救いなんだよッ!」
「でもッ!」
ジャックの目の前に立ちふさがる零。
そこで見たジャックの顔は涙でぐしゃぐしゃになっていた。
「それでも…助かる可能性は…」
「無いんだよ、零君…」
無慈悲なウォルターの一言。
「見てわかるだろう?コアを植え付けられた時点で、彼らは人間としての存在を『終わらされた』んだ」
絶望する零の脇を通り抜ける弾丸。
それは零の真後ろまで迫っていたオンショウを貫く。
「どけ零!そいつのコアを全部破壊するんだ!!!」
しかし、零の耳には届かない…。
「零!どきなさい!!!」
走ってきたクラウリーが零を突き飛ばし、息絶える寸前のオンショウへと斬りかかる。
が、その瞬間オンショウのコアから瘴気が噴き出しクラウリーを吹き飛ばす。
「きゃぁっ!!」
吹き飛ばされ地面を転げるクラウリー。
「まずいッ!?零君!!」
瘴気の中からきらめく一閃。
それが零へと届こうとしたその瞬間間一髪ウォルターが抱え離脱したおかげで事なきを得る。
「ちっくしょ…!」
瘴気の中へと銃弾を撃ち込むジャック。
しかし、無情にも『それ』は瘴気の中から現れた。
「こいつ…なの!?」
やっと体を起こし、その姿を確認するクラウリー。
一歩、また一歩…瘴気の中から現れたその姿は…
「俺の…せいだ…」
蘇る悪夢…そこに居たのは、あの時と同じ…いや、あの時より進化したヒトガタだった。
頭部には目のように二つに増えたコアと右手には結晶の鉄球の代わりに剣。
そして、より人間へと
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