暁 〜小説投稿サイト〜
とある碧空の暴風族(ストームライダー)
妹達
Trick52_サバイバーズ・ギルド
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違いしないでくださいね。先生の腕が良い事はもちろん知ってますし
 信頼しています。

 でも・・・」

「私を信じてくれている気持ちと同じくらい、不安な要素があるってことだね」

「はい。美雪をこの状態にしたのが『時宮』ですから・・・」

時宮病院

表の世界、学園都市の一般人では知る人は皆無であるが
それ以外の世界では忌み嫌われる名前として知られている。

信乃も時宮については噂でしか聞いた事が無いが、それでも嫌悪するには十分な噂の無いようだった。

時宮の悪い噂。そして学園都市で最高の技術を持つ医者。

絶対値が高く相反する2つゆえに、美雪が治るかどうか不安に感じていた。

「大丈夫だよ」

「・・・・」

「何があっても絶対に治すよ」

「っ

 はい!」

忘れていた。この人は『冥土帰し(ヘヴンキャンセラー)』
学園都市だけでなく世界レベルで最高の医者なのだ。

そして薬が効かない信乃の恩人でもあり、薬剤師である美雪の師匠。
公私にわたり信用のおける人だ。

「あと数分でテスタメントの処理が終了する。

 処理直後、大きな声を出したり急に抱きついたりして強すぎる刺激を与えないように
 注意してくれ。いくら夫婦だと言ってもね?」

「わかりました。あと、夫婦じゃないです」

操作機器に向かう背に言ったが、いつも通り相手にされなかった。


カエル医者の指示の通り、美雪が起きた後に出来るだけ刺激を与えないようにするため
握っていた手を離して、信乃自身も数歩離れる。

(・・・美雪のために握っていたつもりだったけど、俺のためでもあったんだな)

先程まで柔らかくて小さくて温かいものがあった手を見る。

多少残った不安が表れるかのように震えていた。


PiPiPiPiPi


「っ」

「どうやらテスタメントが終了したようだね。
 機器の反応を見る限りでは無事に成功しているようだ。
 
 信乃くん、落ち着いているね?」

カエル医者の問いに一度深呼吸をする。

「フーーーー。

 はい、大丈夫です」

「では、僕はテスタメントを外すから、きみはこのままここにいてくれ
 外して十数秒後に目を覚ますよ」

「はい」

スタスタと近付き、美雪の東部にある機器を外す。

そして機器を美雪の後ろに置いて、自分自身も機器に隠れるように立つ。
美雪が目を覚ました時に、一番に目に入るのは数メートル離れて立っている信乃。

信乃は表情に出さずとも呪いの掛かった眠り姫の目覚めを、今か今かと焦がれていた。

「・・・・ん」

瞼が震えて、少しずつ開かれていく。

半開きのまま前方を、焦点の合わないような目
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