反董卓の章
第10話 「は、疾すぎ……る」
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だと!? そんなものを振り回すことも出来ないバカと戦えというか! 私も見損なわれたものだ!」
「…………では、鈴々とは戦わないと?」
「くどいっ! ガキの遊びに付き合ってられん! すぐに突破――」
「これでもか―――っ!?」
鈴々は、丈八蛇矛を大振りで振るったのだ。
華雄のお姉ちゃんは、不意をつかれたように大斧で受け止めようとして――
「なにぃっ!?」
受け止めきれずに、後ろに吹き飛んだのだ。
「ぐはっ……な、なんて重い一撃を放つのだ。私が堪えきれなかった、だと……?」
「今の鈴々は昔の鈴々と違うのだ! 我が師匠は北郷盾二! お兄ちゃんの一番弟子! 今の一撃、昔の鈴々の力ならお姉ちゃんでも堪えたかもしれないのだ。でも今の鈴々なら絶対に負けることなんてないのだ!」
「あの男の……弟子、だと。そうか、あの扉を一撃で壊した男の弟子ならば……」
そう言ってお姉ちゃんは立ち上がったのだ。
若干、足がふらついているけどなー?
「失礼した。お前を武人と認めよう……だが、まだ負けたわけではない! 我が戦斧の血錆にしてくれるわ!」
「本気で掛かってくるのだ! でなければすぐに鈴々に倒されるのだ!」
「抜かせぇ! ガキが!」
「またガキって言ったなー!?」
鈴々は怒りと共に蛇矛を振るったのだ。
だが、華雄のお姉ちゃんはそれを紙一重で避けて、大斧を振り返してくるのだ。
「あぶっ!?」
「ふん! どんなに威力があろうとも、当たらぬばどうということもない!」
「む〜…………ダメなのだ。確かに、今のはカッとなって大振りになりすぎたのだ。もう、反撃させないのだ」
「むっ……」
昔の鈴々なら、今の挑発にさらに怒っていたのだ。
でも、今の鈴々は違うのだ。
(自分で考えるのをやめちゃいけない)
お兄ちゃんの言葉は、誰よりも鈴々に届いているのだ。
鈴々は、戦う時はできるだけ冷静でいなきゃならないのだ!
「次で終わりにするのだ!」
「ふん! 貴様にやれるものか! また避けて――」
「身の丈八尺の丈八蛇矛! そして今の鈴々には――」
足に力を入れる。
今まで感じたことのないような力を、全身に行き渡らせたのだ。
鈴々がずっと鍛えてきたのは、単なる力でも技でもないのだ。
それは全身を鈴々が思い描く様に動かせること。
想像についていけない身体を、思い通りに動かす力。
それは――誰よりも疾く、強く、正確に、なのだ!
「それを小枝のように扱う力があるのだーっ!」
「なっ! 消え……」
華雄お姉ちゃんの斜め横に飛び、そこから蛇矛を振りぬく。
お姉ちゃんが気づいた時には、その手から大斧が天高く舞っていたのだ。
「あっ……
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