反董卓の章
第10話 「は、疾すぎ……る」
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ように見る。
「全軍、固まれ! 前方の敵は、自分たちの柵があってまだ出てこられない! 左右は一万もいない! 包囲される前に、片方を突破すればいいのだ!」
自分でもこれを自分が考えたのか、そう思うことを無意識に叫んでいた。
そうだ。
まだ包囲はされていないのだ。
ならば包囲される前に突破すればよい。
突破するのは左右どちらか。
水関右は一万いるかどうか、左は五〜六千。
ならばそちらに残った数万でぶつかれば――
そう考えた私は、おそらく今までで一番頭が冴えていたと思う。
だから私は叫んだのだ。
「全軍、水関左方向の崖道を突破する! 我に続けぇ!」
―― 張飛 side ――
「鈴々。ご主人様の言うとおりになったぞ。お前の出番だ」
「まかせろなのだ! それより愛紗もけーかくどーりにするのだなー?」
「ふっ……当然だ。行って来い。だが、次は負けないからな」
「愛紗はくじ運が悪いのだ。次も鈴々がもらうのだ」
「抜かせ。さっさと行って来い。指揮は任せろ」
「にゃー! じゃあ、言ってくるのだー」
愛紗に手を振って、鈴々は駆け出すのだ。
目指すは、敵が混乱している先頭で叫ぶ武将。
あれが華雄なのだなー?
とりあえず華雄を倒さないと、お姉ちゃんの手柄にならないからしょうがないのだ。
鈴々は混乱する兵たちの隙間をすり抜けるように走って、敵の武将の前に出たのだ。
「いいぞ! このまま突破――」
「させないのだ!」
そこでようやく、鈴々の姿に気づいた華雄に。
鈴々は丈八蛇矛を突きつけたのだ。
「だ、誰だ、貴様は!?」
「梁州牧、劉玄徳が一の家臣、張翼徳とは鈴々のことなのだーっ!」
鈴々の名乗りに驚いている華雄のお姉ちゃん。
「ば、ばかな! 貴様一体どうやってここまで!」
「どうやってもなにも、華雄のお姉ちゃんは軍を先導して前に出ているのだ。なら、鈴々がすり抜けるのは楽なのだ」
「なっ……では貴様、単騎で来たのか!?」
「そういうことなのだ! さあ、華雄のお姉ちゃん! 鈴々と勝負するのだ!」
鈴々が叫ぶと、華雄のお姉ちゃんは下を向いたのだ。
にゃ?
「……予想はしていた。左右に抜ける前に、誰かが立ちはだかるであろうと。だがな……だが……」
顔を上げた華雄のお姉ちゃんが、ギッと鈴々を睨むのだ。
「よりにもよってこんなガキが、だと!? 我々はこんなガキと戦っていたというのか!?」
「にゃー!? 鈴々はガキじゃないのだ!」
このお姉ちゃん、失礼すぎなのだ!
「たかが男とはいえ、あの北郷とかいう者ならばともかく! こんなガキがそんな獲物で私と戦う
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