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真・恋姫無双 矛盾の真実 最強の矛と無敵の盾
反董卓の章
第10話 「は、疾すぎ……る」
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は関を落としに来たはず……何故攻撃側がこんな防衛陣地を?)

 思わぬ足止めに、私は苛立っていた。
 その時。

「か、華雄将軍! 後ろを!」
「なに!?」

 まさか回りこまれたか――その時はそう思った。
 それは正しかった。

 だが、その予想をはるかに越えた事態がそこでは起こっていた。

「関が……燃えているだと!?」

 関正面の大手門、そしてその上にある倉庫。
 その場所が、天にも届く業火で炙られていたのである。

「ばかな! こんな木も草もない荒野で、何故あれだけの火柱が!?」
「あ、油です! 油を大量に撒かれました!」
「な――!?」

 油…………だとしても、あの火柱である。
 もし油が撒かれたのならば尋常では無い量だろう。

 街一つが焼かれるだけの油が撒かれたのではないか?

 その時、傍に居た兵の言葉で、私は凍りつく。

「あれじゃ……もう関に戻れない」
「――――っ!?」

 そうだ。
 燃えている場所は門中央。
 門自体にも大量に油が撒かれたせいか、もはや煉獄の門の様に燃え盛っている。
 あれではとても後方には下がれない。

 それはつまり……逃げ道は、敵先陣を突破するか、崖に登る細道を駆け抜けるしかない。

 だが、前方は柵で塞がれている。
 崖に登る道も油を撒いたであろう部隊が、いつの間にか陣取っていた。

(やられたっ!)

 私は直感する。

 敵は我々三万を逃がす気がない。
 あくまで全滅させる気なのだ。

 渦のように周囲を包囲され、すでに勢いをなくした魚鱗は崩れている。
 もはや陣というよりただの集団。

 その恐怖が瞬間的に脳裏ををかすめた矢先。

 敵の銅鑼が先陣周囲で鳴り響く。

 振り返ったその柵の向こう。
 そこに居た、馬にまたがる白い着物の武将が叫んだ。

「これより反転攻勢に掛かる! 各自、半壊した柵を打ち壊せ!」

 ――――なぁっ!?

 バカな! 自分たちを守っていた柵を、自分たちで壊すだと!?

「か、華雄将軍! 左右から敵が――」

 部下の言葉に、振り返る。
 そこには油を撒いたであろう部隊が、左右からこちらに向かってくる姿だった。

(三方から攻められたら、全滅する――)

 私が抱いた恐怖。
 それは、兵たちがより過敏に感じ取っていた。

「か、囲まれたらおしまいだ!」
「だ、だがどうするんだ! 前は柵! 後ろは火! 左右は敵だぞ!」
「いやだ! 死にたくない! 俺はまだ――」

「うろたえるな、馬鹿者!」

 誰かが叱咤する声が聞こえる。
 いや、誰かではない。

 私の声だった。
 思わず叫んでいた私に、周囲の兵が縋る
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