反董卓の章
第10話 「は、疾すぎ……る」
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率いて、左から回りこむように走る。
その後を、徒歩の者達が必死に走って追い付こうとする。
この作戦は早さが勝負。
だから、遅れたものは放置しなければならない。
そのものたちは、敵を止めるための壁になるのだ。
「敵、こちらに気づいた模様!」
「放っておけ! それは徒歩の連中に任せよ!」
私の言うまでもなく、敵の魚鱗が乱れてこちらへと向かってくる一団を防ぐため、最後尾の者達が横槍を入れに行く。
「将軍! 水関の土壁です!」
「よし!ここから土壁に沿って走れ! 落石の準備などさせるなよ!」
そのまま水関の壁に添って騎馬を走らせる。
と、反対側の壁に添って走る一団がある。
第二軍の鈴々たちだった。
「愛紗! 遅いのだ!」
「抜かせ! 馬に乗った我々より早いお前たちが変なのだ!」
お互いがそう叫んですぐ、我らは自軍へと振り返る。
「「 油、投擲用意っ!(なのだ!) 」」
騎馬隊二千が、その横に括りつけた油壺を取り出す。
鈴々たち第二軍は、全軍である五千が一抱え以上ある油壷を持っていた。
「「 門に放てぇ! 」」
互いが門の場所で交差する。
その間に大量の油壺が放られる。
扉、その地面、周囲の土壁、上の倉庫。
一人が持てる量はそう多くはないが、騎馬二千と第二軍五千、計七千が油を撒いていく。
それは門だけでなくその周辺すら大量に飛び散らせる量だった。
「「 全軍、左右に退避!(するのだ!) 」」
合図と共に、来た方向とは逆の崖へと走る。
そして最後に残った私と鈴々は――
「愛紗!」
「おう!」
それぞれの愛刀を取り出し、互いに油の傍で重ねあわせた。
我が愛刀、青龍偃月刀。
鈴々の丈八蛇矛。
それが撃ちあう事数度――
火花が飛び、それが油へ。
「鈴々!」
「おうなのだ!」
私は確認する暇もなく、鈴々を抱えて馬を走らせる。
次の瞬間、油に火が付き。
それは爆発的に燃え広がった。
「あちゃちゃあー!?」
「暴れるな! 私も熱い!」
火の傍から逃げるように馬を走らせる。
その背後に見たものは、門の周辺がまるで天に登る炎のように燃え盛る、水関の姿だった。
―― 華雄 side ――
「ええい、あんな柵ごとき、さっさと打ち破れ!」
敵の柵など我軍を阻む障害でもない、そう思っていた。
だが、敵の柵は丸太で組んであり、思ったよりも頑丈で高い。
その上、空からは矢の雨、正面からは隙間なく撃ち込まれる槍。
柵に取り付いては殺され、増援は矢によって傷つく。
(何故だ? 奴ら
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