反董卓の章
第10話 「は、疾すぎ……る」
[4/9]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
えよ! 全軍、構え!」
私の声に、槍隊は槍を構え、弓隊は弓を引き絞る。
関から溢れ出てきた敵兵は、皆槍や剣を手にこちらへと向かってくる。
敵の陣形は魚鱗。
おそらくは一点突破を図る気だ。
すでに敵の先陣は一里(五百m)を切り、遠矢ならば届く距離。
だが、まだだ。
まだ早い。
「全軍、息を吸えー!」
私の声と共に、皆の深呼吸の音。
そして、私自身も吸い、瞬時に目を見開く。
敵はすでに半里を切っていた。
「第一射、放てーっ!」
弓隊が空へと矢を放ち、それが地に吸い寄せられるように落ちていく。
そして先頭の少し後ろに降り注いだ。
「ぎゃっ!」
「がっ!?」
だが、敵はそのまま陣を突破しようと突撃してくる。
そこにあるのは、丸太で組んだ柵。
人がそう簡単に乗り換えられない高さの壁。
「おおおおっ!」
敵はその丸太で組んだ柵の隙間から槍を突いてこようとする。
だが、それはこちらも同じ。
丸太を挟んで、槍隊同士が穂先を合わせる。
「柵を乗り越えさせるな! 登ろうとするものは突け! 弓隊! 第二射、放てーっ!」
弓隊の第二射は、丸太の柵を越えた程度の低さで連射させる。
すると、柵で止まっていた敵兵たちが、その矢を食らって倒れていった。
「出来る限り柵を壊させるな! だが柵が壊れたら、次の作戦に移る! 各隊、奮起せよ!」
そう叫んだ私の傍で、柵を挟んで敵から槍が投げつけられる。
「甘い!」
私は、槍を愛槍『龍牙』で弾き、柵越しに敵の胸元を突き刺した。
「ぐはっ……」
「弓隊! 手を休めるな! 時折緩急をつけて、矢を撃つ地点を変えるのだ! まだまだ敵は来るぞ!」
そうだ。
戦いはまだまだこれからなのだから。
―― 関羽 side ――
「柵正面! 敵の魚鱗とぶつかりました!」
「そうか……敵の数は!?」
「およそ三万! 軍師様の壱之策、その予想通りです!」
うむ……ということは、そろそろだな。
「伝令! 本陣より『壱のまま作戦開始』とのこと!」
「了解した!」
作戦開始。
それは敵の前衛が、関をほぼ出きったということ。
残るはおそらく霞の守る約半数。
だからそれを……
「聞けぇ! 我が第一軍の兵達よ! 予定通り、騎馬隊は私とともに突撃! 他のものは前後の敵を打ち払え! 我らが第一軍こそが、劉備軍の核であることを見せ付けるのだ! 鈴々の第二軍に負けるなよ!」
「「「 オオオオッ! 」」」
「では行く! 水関の崖に添って進めぇ!」
私は即席の騎馬隊二千、そして第一軍残りの九千を
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ