反董卓の章
第10話 「は、疾すぎ……る」
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兵たちが、華雄の宣言に声を上げる。
先程まで、盾二の一撃に恐怖しとった連中の士気が上がっとる。
確かに討って出る以外に、軍の統率を戻す方法はないやろ。
けどな……それはアカンて。
「……ウチラは本当に虎牢関に退くで。ええんやな?」
「勝手にしろ。我が軍は単独で討って出る! 準備しろ!」
「「「 オオッ! 」」」
……もはやここまで、やな。
戦は士気だけでやるもんやない。
士気は大事やが、それでは埋められないものも戦場にはある。
そして士気は……向こうのほうが高いかもしれへんのやで?
「張将軍……」
ウチの部下が不安げに声をかけてくる。
事、ここに至っては、もはやしゃあない。
「……ウチの部隊は虎牢関に退く。残念ながら水関が落ちるのはかなり早いやろ。すぐに撤退する」
「……は。輜重隊はいかがしますか?」
「武器以外は残していく。行軍の遅れにもなるし、華雄がここに残る以上は必要かもしれん。なにより……敵に占領されれば鹵獲されるやろ。その分配でも時間が稼げる」
「なるほど……了解しました」
落胆したような声。
それは華雄に対してなのか、ウチに対してなのか……
「華雄の暴走……止められんウチを責めんのか?」
「何をおっしゃいますか。我ら張文遠軍……どこまでも文遠様に従いていきますよ」
「……あんがと。ほんまに、あんがとな……」
ウチは……果報もんや。
こんなウチに慕ってくれるものがおる。
けどウチは……ホンマにええんか?
ここで……戦わなくて。
つまりそれは――
そう考えて、首を振る。
戦いはここだけで終わりじゃないんや。
ウチだけのことで、ウチに従う二万の兵を無駄に殺すことは出来へん。
今はこれが…………これでええんや…………
―― 鳳統 side ――
「もうすぐ四半刻(三十分)ですね…………降伏するのでしょうか?」
「うーん……」
私の言葉に、盾二様が首をひねっています。
その横では朱里ちゃんも思案げです。
あの霞さんなら、ここは退くでしょう。
問題はもう一人……華雄と言った、もう一人の武将です。
確か黄巾の時に、翠さんが死にかけた原因を作った方。
猛将との噂は聞きますが、味方の言では猪だということ。
なればこそ、あれで見かけによらず深く考える霞さんとの相性は、あまり良くないでしょう。
「雛里はどう思う?」
「……霞さんは撤退するでしょう。ですが、華雄さんは残ると思います」
「ふむ……朱里は?」
「私は、華雄さんもそこまでの猪ではないかもしれません。ただ、その場合には一当してから悠然と退却する
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