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少年と女神の物語
『東方の軍神』編
第十四話
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は、慌てて自分の部屋に向かって走っていった。

「あの二人は相変わらずですね。おはよう、武双」
「おはよう、アテ。まあ、何にも完成しなかったころに比べればずいぶんと進歩してるだろ。ところで、今日もあの二人は?」
「まだ寝てるよ。武双、起こしてきてくれ」

 自分で起こすつもりはないのか、ソファでぐだっとなりながらリズ姉はそう言ってきた。

「おはよう、リズ姉。質問だけど、自分で行こうって気は?」
「ないな。それに、あれを起こせるほど私の頭は起きていない」
「なるほど、リズ姉らしい主張だな。じゃあ行って来る」

 まあ、あの二人を難なく起こすことは難しいから、元々一人で起こすつもりだったのだ。ちゃんと起きてくるとはいえリズ姉も朝には弱いほうだし、任せるのはどうかとは思う。
 予定通り、起こしに行くとしよう。俺はドア付近に立てかけてある、枕をくくりつけた棒を持って、二階へと向かった。



◇◆◇◆◇



 さて、まずは林姉から起こすとしよう。
 俺は先ほど持ってきた棒で距離を置きながら林姉をつつく。

「林姉ー。朝だぞー。早くおきろー」
「まだ眠い・・・ムー君も一緒に寝よう・・・?」

 そう言って、林姉は棒につけてあった枕を抱きしめ、布団にもぐっていった。
 いつもどおりの反応である。

「はあ・・・良いから、起きなさい!」

 そして、捕まる心配がなくなったので、俺は林姉のそばまで近づき、耳元で大声を出す。

「ひゃっ・・・もうムー君!そう言うの、よくないってお姉ちゃんは思うの!」
「そうか。なら俺は毎朝毎朝当たり前のように弟に起こしてもらってる林姉もどうかと思うんだけどな!」

 と、これが毎朝の林姉だ。

「もう・・・私としてはね。もっと優しく起こしてくれたり、いっそ一緒に二度寝とかがいいのよ」
「そうなるから、わざわざ二段構えなんだからな?」

 寝惚けているときの林姉の抱きしめる力は、変に強い。
 全然痛くないし圧迫感を感じないのに、絶対に抜け出すことができないのだ。

「じゃあ、起きたなら着替えてから下に行って。もう朝食の準備はしてあるから」
「は〜い」

 頬を膨らませて若干不満そうでは有ったが、同意してくれたので俺は部屋を後にする。
 そして、そのまま次の部屋へ。

「こっちも熟睡か・・・おい、起きろー」
「イヤ・・・あと五分・・・」
「この間の土曜日は、後五分で起きるって言うから放置したら、そのまま二時間寝てたよな?しかも俺が起こさなかったらそのまま寝てえたよな!?良いから早く起きろー!」

 俺はそう言いながら、布団から出てこようとしない妹を揺らす。
 が、一向に起きる気配はない。
 仕方ない。切り札を使うとしよう。


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