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ソードアート・オンライン〜Another story〜
SAO編
第54話 過去の痛み
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ートナーだと思えた。
そして、レイナは血盟騎士団、という訳だけじゃなく、曲がった事、それは決してしない。そのあたりは姉のアスナ譲りだとも思える。何より、そう言う類のことは決してしない人だとはっきりといえるんだ。
なら、いったい何があったと言うのだろうか?
「今日……レイナと会ってな、食事に誘われたんだ」
キリトが考え込んでいた時、リュウキがそう続けていた。
「はぁ……?」
それを訊いたキリトは、リュウキには申し訳ないが、何言っているのか判らず、思わず声が裏返ってしまった。
それは所謂《デート》と言うヤツだろうか。
正直な所、キリトはネットゲーマーである。だからこそ、その
単語
(
デート
)
は、程遠いものなのだ。
「え、っと…… それでどうしたんだ? 何か、不味いことでもあったのか?」
少し声が裏返りそうになりつつも、キリトはリュウキにそう聞いた。
これまでの会議でもあったが、レイナの好意を さらっとスルーしてしまうのはリュウキだ。何かあったのか? と聞いたはいいが こればかりは、全く想像がつかないのだ。
「………いや、楽しかったよ。本当に……、楽しかった」
リュウキは、そう言うと、再び表情を一段階落とした。
「………楽しかったから、だろうな。……ずっと、忘れようとした、記憶を……。それを思い出してしまった様だ」
「記憶……?」
キリトは何のことか、わからない、と思っていたが。
「あッ……!」
数秒して、ある事をキリトは、思い出していた。
そう、あの時の《思い出の丘》での事。
リュウキが言っていた事。
「本当に悪かったな……。もう大丈夫だ。これ以上は迷惑はかけない」
リュウキはそう答えると、立ち上がった。
「あっ……おい!」
キリトは、思わず支えようとしたが、問題ないように立ち上がった。
「大丈夫……だ。パラメーター、身体的な異常じゃない。オレ自身の精神的なものだ。この世界においてはその影響はダイレクトに来たんだろうな」
だからこそ、脳を、精神を休める意味で睡眠などの事が必要なのだろう。常人よりもなぜか、かなり強い脳を持つ、リュウキであっても例外じゃないと言う事だろう。
「リュウキ……」
「大丈夫だ」
キリトが何かを聞こうとしたのを察知したのか、リュウキは強引にだそう返す。
――……話したくない。
リュウキは、そう言っているようで、これ以上は何も聞けなかった。
「……キリト。心配してくれてありがとう。そして、すまなかった。これ以上は無理はしない。あの森へ行くときも整えてから行くつもりだ。説得力が無いかもしれないが、安心してくれ」
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