暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン〜Another story〜
SAO編
第54話 過去の痛み
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り香、残滓が まだこのエリアの大気中に漂っているのだ。そして、最後の青い硝子片が消え去ったのを確認すると。

「……? ……キリト。オレを心配してくれたのか……?」

 リュウキは、徐にキリトの顔を見た。そのキリトの表情は、次第に怒りの表情がなくなっていく。

「……あたりまえだろ」

 キリトは、完全に怒気を鎮めると、リュウキの今の姿をはっきりと見た。
 この姿のリュウキは見た事無かったから。

――……普段のリュウキじゃない。

 キリトは、表情を一目見て そう直感した。何か、意図していた訳じゃない、と言う事も。

「……そう、か。ありがとう。すまなかった」

 リュウキは、キリトを見て頭を下げた。

「いや、どうしたんだよ本当に。……らしくないんじゃないか?」

 キリトはいつもとまるで違うリュウキにそう聞く。そもそも、リュウキには実際に援護なんて必要ないんじゃないかと思えるほど、その技量はハンパではない。
 正直、あの程度であれば、気づけばモンスターが四散していた。なんて事はザラだった。自分自身が目指そうと思った理想像ともいえる腕だ。

 でも 今回は気配が違った。

 だからこそ、キリトは咄嗟に動いてしまった。案の定……リュウキは心此処にあらずの状態だった。自分の判断は間違っていなかったと思い、そして安堵していたのだ。

「……悪い」

 リュウキは、ただ謝罪を口にしていた。それ以上は何も言わなかった。

「……今日のところは止めて、街に戻るぞ。今のお前はマジで危ない。嫌だと言っても駄目だ。今回は訊いてもらう」

 キリトはそう言うと、結晶を取り出し、半ば強引にリュウキに渡す。それは転移結晶だ。
 その言葉にリュウキは、素直に頷くと、じっ……と結晶を握り締めた。

――……転移結晶を使うのなど、何時以来だろうか。

 そう思いつつも、上に掲げながら、この結晶を使ったのだった。





〜51層 アルスレイド 転移門前〜


 リュウキの後にキリトも、転移結晶を使い後を追った。場所自体は、示し合わせた訳じゃないが、直前に行き先を、はっきりと言わないと、効果が得られない為、どこに向かったのかは、直ぐに判ったのだ。

 そして、キリトはリュウキの後を追い、アルスレイドの街へと向かう。その転移門広場のベンチに腰掛けているのリュウキを見つけた。

 宿まで、と思っていたキリトだったが、リュウキは行かなくても良い、ここで良い、と言ったまま座っていた。

 そして、両手を組み考え込むように視線を地面へと向ける。

「……それで、一体何があったんだ?」

 キリトは、座ったまま俯いているリュウキにそう聞く。
 正直、今 聞けるような雰囲気では無
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