海に行ったら、黄昏る その一
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だ」
何で解った? そうだよ泳げないんだよ。
海に入ると深海へと急速潜行潜航する潜水艦のように、ダウントリム三十、メインタンク注水ってな感じで海底に向かって一気に沈降していくんだ。
俺にとって海は――いや、プールでもそうだが、足の届かない深さの水ってのは恐怖以外の何物でもない。
「解るのか?」
「そのくらいわかるわよ。すっごい嫌そうな顔してたもの。何なら浮き輪でも用意してあげようか?」
「遠慮しておくよ。女子と違っていい歳をして浮き輪を抱えて泳ぐのは恥ずかし過ぎる。砂浜で遊ぶなら誘ってくれ、それならいくらでも相手できる」
「解ったわ、そん時は呼ぶから覚悟してなさい」
何を覚悟すればいいのか解らないが、そう言って鈴は手を振りながら去って行った。
「妻帯者の分際で若い女と浮気か? いいご身分だな、ベインズ」
背後から声を掛けられた。
振り返ると、織斑先生と山田先生がそこにいた。
「冗談は止めてください」
黒のビキニタイプをまとった織斑先生は、はははと女性とは思えない男らしい笑い方をした。
これが一夏とシャルロットが水着を買いに行った時、試着室でくんずほぐれつしていたのを織斑先生と山田先生に見つかり、正座で説教を受けた挙句、その後一夏が織斑先生のために似合いそうな水着を選んであげたっていう例の水着か。
「ひどいです、ベインズくん。わたしというものがありながら、若い女性と浮気なんて」
ちょっと拗ねたような言い方をしているが、顔には笑顔のある山田先生。
グレーのパーカーを着ているのでどんな水着か見えないが、腰の辺りにちらりと見えたのは黄色だった。
そういえば最近、山田先生の事を俺の学園妻なんて呼んでいる女子がいる。
まあ、原因の一端は俺にもある。
IS学園、転校初日。
俺は一年一組の教室でクラスメイトの前で山田先生に告白じみたことをやらかした。
それが原因の一旦ではあるけれど、最大の原因は、俺の部屋はいまだに寮にはなく、現在進行形で山田先生の部屋に居候を続けている現実があるからだ。
そんなわけで、IS学園公認の同棲、学園妻なんて言ってからかっているのだ。
織斑先生も生徒の噂話を耳にして知っているのでこんなことをいってくるのだろう。
俺と山田先生の関係は健全だ。
疑われるような事は何もない、本当にだ。
最近は部屋に山田先生が居るのにも慣れてきたので、今のままでも、一人部屋でも、どっちでもいいんじゃないかと思い始めている自分がいる。
俺は山田先生の事を部屋に備え付けの家庭教師くらいに思っている、というか思うようにしていると言った方がいいだろう。
授業で解らなかったことを、その日のう
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