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World of Destiny Crossed―魔法少女と剣士の物語―
第一部
魔法少女と剣士
謎の視線
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。まどかちゃん」
「い、いえ。あの……?」
「ああ。こちらは政府の……対策課の人で、悠のお見舞いに来て下さったのよ」
「初めまして、お嬢さん。悠君の恋人さんかな?」
「ち、違います……」
「はは。すいません。お母さんも失礼しました」
「いえいえ」
彼のお母さんは痩せこけた顔に無理やり笑みを作って答えていた。やがて眼鏡の役人さんは顔を引き締めると外部から観察できる範囲でゲームの中の状況を話していった。夥しい数の死者、強力なボスモンスターの話。
「現在、最前線は26層。ようやく4分の1です。このままのペースで進めば1年と半分でゲームは終了しますが、敵が強力になっていき、最前線で戦う人数が減っていくとなると、まだ断定することは出来ません。さらに、資料に依れば25、50、75層……所謂クォーターポイントのボスはとても強力で、事実25層では多数の死者が出ました……」
私は思わず彼のヘッドギアを確認した。インジケータは点滅し、彼がまだ生きている事を示している。
「あの、それで家の子はいったい……?」
「悠君は最前線で戦う《攻略組》の一員で位置情報から類推するに、その中でも希少と言える《ソロプレイヤー》です。先のボス戦では後発隊に入っていました」
「…………!!」
驚いた。連日のニュースや需要によって出版されたSAOの詳細が書かれている専門誌、ネットゲームの専門用語集等々のおかげで私は話の内容を察した。
(……悠君)
戦っているのだ。電子の檻から解放されるべく、自分の道を己の剣で切り開いている。
胸がトクン、と鳴った。手をぎゅ、と握ってそこに当てる。
しかし、自分の道を自分で切り開いている、つまりそれは常に危険と隣り合わせの場所にいるという事だ。
(お願い……悠君……無事に帰ってきて……)
それから1年半後、2024年11月7日。その願いは叶った。
「ふぅ……」
日課となっている朝のジョギングから帰宅し、トレーニングウェアを洗濯機の中に放り投げるとスイッチを押す。シャワーを浴びて汗を流し終えると、慌ただしく朝の支度を始める。真新しい制服に着替えると、ジョギング前に用意しておいたパンを食わえながら家を出た。
春過ぎの何時もの陽気。彼は朝のこの澄んだ空気が好きだった。
「今日も1日平和でありますように、と」
学校生活が始まって早1ヶ月。毎朝この文句を言うのだが……この日、初めてその願いは叶わなかった。そして―――
この日から全ては始まった。
周りを歩いているのは既にほぼ見滝原中学校の制服を着た少年少女のみ
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