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【IS】何もかも間違ってるかもしれないインフィニット・ストラトス
役者は踊る
第六十幕 「因果応報の彼方」
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整をしていれば何とか解決できた問題点。そしてシャルの瞬時加速と鈴の衝撃加速が同時タイミングで発動したのならば、鈴は、シャルとの距離を詰めることが出来ない。
「分かってたんだよ、悪いね鈴。・・・
アデュー
(
さようなら
)
」
既にシャルは“ムーランナヴァン”の照準をこちらに向けている。給弾機構がまるで風車のように見えるそのミサイルガンは、その引金と共に甲龍の装甲を打ち砕かんと発射される―――筈だった。
しかし、現実にはそれは起きなかった。シャルがミサイルを発射しようと照準を定めた正にその瞬間、甲龍が更に加速したのだ。空を裂き猛然と風を
食
(
は
)
まんと牙を剥くように、それは未だシャルを追い続けていた。
「なっ・・・!?」
有り得ない。そう考えたシャルはそこであることに気付いた。瞬時加速が連発できないのはエネルギーチャージの時間を確保できない事にその主たる原因がある。ではもしも。もしも鈴が「衝撃加速と同時に通常スラスターのチャージを始めていた」としたら。そしてそれが間に合ったとしたら。
「カーテンコールには早すぎる。だって、アタシとアンタのドッグファイトが始まったのは―――
今、この瞬間なんだからッ!!」
甲龍は・・・エネルギーと体力の続く限り、無限にトップスピードを保つことが出来る―――
―――
交互加速
(
オルタネイトブースト
)
を可能とする。
迫る鈴の目を見る。いつでも眩しくて直視するのが辛いほどに真っ直ぐな瞳は、今日もぶれることなくたった一つの未来を映していた。撃破、勝利。今でもいつ隙を見せて敗北するかもわからない、ISだって決して軽傷とは言えない損傷を負いつつあるのに、彼女は”そんな些事は気に留めていない”。
それは打算まみれの戦闘を行っていたシャルとは対極に位置する思考で、しかし力で奪い取ることの出来る確かな”勝利”の二文字を掴み取ろうとする気迫は、理屈をこじ開ける無限の可能性を垣間見せた。
「凄いよ鈴・・・素直に賛辞の言葉を贈らせてもらうよ・・・・・・
・・・・・・でも!それでも!!最後に勝つのは僕なんだよッ!!」
シャルは知っている。既に甲龍のシールドエネルギーは度重なるミサイルでレッドゾーンに差しかかる寸前だったことを。風花から幾らエネルギーを貰ったかは知らないが、そう多くは渡せなかっただろう。つまり、交互加速を使い過ぎると鈴はこちらに止めを刺す余力など無くなる。それがシャルの導き出した残酷な真実だった。
そしてシャルには未だ鈴から距離を離す手段が存在していた。度重なる機体のカスタムとフレキシブルスラスターが
齎
(
もたら
)
した、リヴァイブ以外にはアメリカの試作機にしか実現不可能な大技。そして―――「もしかしたら鈴はまだ何かするかもしれない」と心
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