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【IS】何もかも間違ってるかもしれないインフィニット・ストラトス
役者は踊る
第六十幕 「因果応報の彼方」
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前回のあらすじ: ※繰り返しますが作者はシャルロットに恨みがあるわけではありません


シャルは知っている。簪の判断能力が鈍っていることを。
シャルは知っている。勝負の流れが向こうに傾きつつあることを。
シャルは知っている。鈴の切り札とやらが自分を打ち破るに足る物であることを。

だがそれでも尚、シャルは笑顔でこう言うのだ。最後に勝つのはこの僕だ、と。


鈴が双天牙月を盾のように構えながら瞬時加速を使用する。シャルが可能性として考慮していた3通りのミサイル突破方法の内の一つだ。1つ目が衝撃砲を使用した強行突破。2つ目が事前にミサイル対策に用意していた武装類による状況打開。3つ目がいま彼女が行っている方法。甲龍は確かに防御力も高いが風花の様に物理的に衝撃を和らげる装備は無い。だからどうあってもミサイルは潜り抜けなければならない。つまりその時点で彼女の行動は絞ることが出来る。

爆音、硝煙。煙を突き破って姿を現す紅の装甲。
あの剣は随分丈夫なようでミサイルの爆発を受けても原形を保っているようだ。が、そんなことは予想通り。シャルは既に甲龍が瞬時加速で速度を保てる距離を完全に見切っていた。だからミサイルの弾幕を突破したところでタイミングと距離を誤らなければ何の問題もない。CUにはまだ結構な量の弾薬が残っているから弾切れの心配はないし、ユウは簪の相手で手一杯だからこちらにちょっかいを出す余裕はない。勝利のラインは完成しているのだから、焦る要素も最初から存在しない。

ただ作業的に距離を測り、機械的に後退し、事務的に高速切替(ラピッドスイッチ)で武器を“グレムリンチェイサー”から“ムーランナヴァン”に切り替える。同時にスラスターを操り必要な距離だけ後退。彼女は距離を詰めることとミサイルを掻い潜ることを両立させなければ勝ちへたどり着けないが、僕は武器を展開して後退するだけでこの戦いに勝てるんだ。

「残念だったね、鈴?」
「残念なのは、アンタの方よ、この残念美人!!」

瞬間、ISが警告を放つか放たないかの刹那の瞬間に背筋が凍りつくような悪寒が走った。シャルは弾かれるように急速回避機動を行い、撃墜のチャンスを棒に振る。僅か一瞬感じた違和感を呑みを根拠に回避動作を取ったシャルは、次の瞬間自分の判断が正しかったことを悟った。同時にそれが自分の簪から聞き出した“切り札”ではない事に驚愕する。

―――その瞬間、観客たちは、シャルは目を疑った。

彼らは見てしまったのだ。

甲龍の非固定浮遊部位、“龍咆”・・・



・・・その隣に、何故か先ほどまで“風花”が従えていたはずの浮遊部位“鳴動”がふよふよ付随し、粒子砲をぶっぱなしている所を。


「「「「「な、なんじゃそりゃぁぁぁーーーーー!?!?」」」」」


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