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【IS】何もかも間違ってるかもしれないインフィニット・ストラトス
役者は踊る
第五九幕 「トツカノケン」
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ぉ・・・?」
「分かってる。洗脳された仲間を助け出すのはヒーローものの定番だろ?だから・・・・・・この一撃で正気に戻れ!簪っ!!」

きっと、簪自身も自分がどこかおかしい事に気付いていたのだろう。自分の意思が歪められているのにそれに気付けない現状を打破しようともがいた、その結果が戦闘中の判断能力の低下に繋がったのだ。
こじつけと言われればそれまでだが、それでもユウは彼女が最後まで抵抗したと信じている。その抵抗を無駄にしたいために、最後の一撃を解き放つ。

弾けんばかりに集った桃色の閃光が風花のズタズタになった黒い装甲を照らし上げる。白熱したバリアの塊は衝撃砲の技術を風花で再現しようとした結果生まれた膨大な斥力エネルギーの塊。バリアの展開と圧縮に100ものシールドエネルギーを注ぎ込んだその一種の爆弾は、射出から約150cm・・・丁度風花の拳10つ分ほどの距離で圧縮補助を失い、その濁流の様な斥力を衝突した対象に向けて鉄砲水の如く吐き出す。

それには未だ何の(いわく)(はく)も無い、だが何よりも強力な拳。故にその名を――



「――十握(とつかの)・・・(けん)ッッ!!!!」



風花の拳から放たれ行き場を失った拒絶のエネルギーは津波のように荒れ狂い、打鉄弐式ごとアリーナの地表を隕石の如く深く穿った。同時に響く轟音と衝撃が大気を強かに撃ち震わせ、すべての結末を雄弁に語る。

アリーナ内に舞い散る桜色と言うにはやや濃い光の飛沫、その中心には、機体のあちこちを破損させ満身創痍の風花が、その足で確りと佇んでいた。
衝撃の濁流に飲み込まれた簪はシールドエネルギーこそ全損を危ういところで免れたものの、その一撃で完全に意識を刈り取られ戦闘不能。ただ、気絶したその表情はまるで憑き物が落ちたように無垢であった。

既に風花は攻撃に全てのエネルギーを使い果たし戦闘不能となっていたが、それを「相討ち」と呼べる目撃者は一人もいなかったという。


そしてそれと時を同じくして、もう一組の戦いも決着の時を迎えようとしていた。

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