暁 〜小説投稿サイト〜
【IS】何もかも間違ってるかもしれないインフィニット・ストラトス
役者は踊る
第五九幕 「トツカノケン」
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育ちの鈴にとって母国は異国のような印象しか感じなかった。見慣れぬ町並みに突然放り出されたも同然の鈴はすぐさま心の故郷に帰る方法を考え始める。両親に帰国理由を問いただしてもはぐらかされた鈴は直ぐに日本に帰るための行動を開始した。親を納得させ、尚且つ可能な限り早く日本へ戻る方法・・・それが中国代表候補生の座を手に入れればいい。

そして、長い年月を経て鈴は帰って来た。居場所はまだ日本にあった。友達は変わらない笑顔で鈴を迎え、彼女は自分の居場所が此処だと確信を得た。
そんな彼女の居場所は学園に入ってから少しずつ広がった。ジョウの友達のシャル、あの戦いで轡を並べた簪、時には一夏へのアプローチを後押ししてくれるクラスメイト達。どれも暖かくて、鈴はその居場所を二度と手放すまいと心に誓った。

その結果がこれだ。
シャルは妄執に取り付かれたように信じがたい行動を繰り返し、簪はその言いなり。説得も救出も敵わず、彼女たちは居場所から離れて行った。
鈴は思った。私は皆に居場所を求めていたけど、皆はそうではないのか。酷く独りよがりだったから二人は離れて行ったのではないか。だとしたら私の居場所は、いつ崩れてもおかしくない砂上の楼閣ではないか。

だが、直ぐに鈴は気付いた。重要なのはそこではないだろう、と。
簪は明らかにシャルに無理やり連れて行かれていた。
シャルは明らかにいつもと様子が違った。
だったら鈴がやるべきは自分の居場所ではなく、2人と向き合い間違いを指摘してやることだろう。
居場所は人との繋がりだ。その繋がりを強引に断ち切るような真似をしたシャルを放っておくのか?本人の意思を曲げられた簪を黙って見送るのか?
それは違うだろう。いいや、絶対に違う。私が求めているのは居場所じゃない。いつも近くで笑ったり怒ったり困ったり喜んだりしている、友達だろう。友達が間違っているなら、気付いた自分がそれを正さずしてなんとする。


だから私はミサイル如きに屈しない。操縦者としての腕前の差にも絶対に折れてやらない。何よりも、自分の友達が諦めずに頑張っているのに先にリタイアなど絶対にしてやらない。

(だからお願い甲龍・・・アタシの我儘に最後まで付き合って!!)

既にどぎつい一発を叩き込むための準備はさっき済ませた。あとは甲龍自身が「切り札」の反動に耐えられるかが問題だ。なにせ“こんな使い方”は開発元も完全に想定していない、それほどの無茶だ。だからこそミサイルでフレームが歪み始めた甲龍が耐えられる保証はどこにもない。それでも、信じるのだ。

ユウからのプレゼントは既に使用準備に入っている。徹甲弾を潜り抜けるために双天牙月をシールド代わりに構えながら、鈴は瞬時加速を発動させた。その目が捉えるのは勝利への道筋のみ。それが例え糸を通す針孔ほどの小さなも
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