二十話
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女にとって受け居られなかったのだろう。
「あいにくと、そうこう言っている時間はない」
「ちょ、おまっ! やめっ! やめろぉ!!」
ジタバタと抵坑する千雨を力ずくで肩に抱え、健二は一足先に飛び降りる。残されたメンツはそろって顔を見合わせた後、急いで二人の後を追った。
「はぁ、はぁ、はぁ」
千雨が荒い息をつく。高所からの長時間に及ぶ落下。それは存外に彼女の体力を奪っていたらしい。最も、彼女が体力を消費した原因は何時までも健二の肩の上で暴れていたからなのだが。
「っと」
「到着アル」
やや遅れて、明日菜と古菲が残りのメンバーを抱えて降り立った。ここまで来ればネギが捕えられている場所はもう目前。皆は顔を見合わせ小さく頷くと、その場を勢いよく駆けだそうとした。だが、その出鼻を挫くかのようにして道の先、トンネルとなって先の見通せないそこから一つの小さな影が姿を現した。
「ちょっと……」
「あ、あはは……」
その影は小さい。確かに、小さい。数えで10歳のネギなんかよりよっぽどだ。だが、その影が、大きな三つ首の魔獣の背にのっていたとしたら、どうだろう。彼女達の様に、思わず足を止めて引き攣った笑みを浮かべてしまうのも、無理は無いだろう。
「さて、どうしたものかな」
原作を知っている健二にとってこれはただの児戯にすぎない。ならば、さっさとこの幻覚を止めさせろとも思うのだが自分が全てを片付けてしまっていいのかという思いも彼の中にはあった。現状では時間が押しているということもあって前面にたってきたがやり過ぎていいものかとも思ってしまうのだ。
「とりあえずは」
健二のために用意されたのか、原作にはいなかった岩の巨人が彼の目の前を塞いでいる。これまで動きは無かったが、ついに痺れを切らしたのかその大きな拳を頭上へと振りかぶった。
「このゴミをかたずけるか」
「ん?」
健二がゲイ・ジャルクを石の巨人に突き刺すと同時に、幻覚空間が解けた。もしや、手に持つ破魔の槍の効果が及んでしまったのかと健二は冷や汗をかいたが綾瀬夕映が幻覚であったと暴いて他の者に説明している当たり、健二が直接の原因ではないようだ。
「そろそろ行くぞ」
幻覚についての説明もそこそこに、健二達は再び足を進め始めた。幻覚を使っていた少女は少し前に奥へと駆けて行ってしまった。と言うよりは、明日菜や古菲がもの凄い勢いで詰め寄ったため逃げて行ったのだが。なんにせよ、あの少女が邪魔することはもうないだろう。
「ム!」
最初に気付いたのは、この中で最も高い実力を誇る古菲。そして続き健二、明日菜が進む先に待ちうける人物に気付く。タカミチ・T・高畑。そして、先の少女が抱きついていることから
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