第四十六話 秋のプールその八
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「泉かしら」
「そうかもね」
聖花も愛実もその言葉に頷く、そうしてだった。
二人でその泉の中に入った、同時に足を踏み入れて。
通過してみる、しかしここでもだった。
ただ通り過ぎただけだ、それでだった。
愛実は今回も少し残念そうな笑顔になった、そしてその顔でこう聖花に話した。
「次ね」
「そうね、次ね」
聖花も愛実のその顔に頷く。
「それじゃあね」
「うん、またね」
こう話す、そしてだった。
二人で皆のところに戻った、茉莉也は二人を待っていたのか半魚人達の中にいたがまだ飲んでも食べてもいない。
そのうえでだ、二人に優しい顔でこう言ったのである。
「次ね」
「はい、次の泉の候補地に行きます」
「そうさせてもらいます」
「そういうことでね、それじゃあね」
「うむ、飲むか」
半魚人も言って来る、そのうえで二人に言うのである。
「では刺身に天麩羅だ、カルパッチョもあるぞ」
「お魚多いわね、やっぱり」
「お水の中で暮らしているからなのね」
「わしの生活は河童さんやキジムナーさん達と変わらんよ」
同じ水に住む妖怪だからだというのだ。
「食べるものもな、だから胡瓜や西瓜もな」
「好きなのね、そういうのも」
「そうだったのね」
「やはりアマゾンの魚や果物が好きだがな」
しかしここは日本だ、だからだというのだ。
「日本のものを食べておる」
「けれど日本のお魚ってね」
「そうよね、今はね」
二人は半魚人がアマゾン川から来ていることから話した。
「海のものが多いけれど」
「そこは大丈夫かしら」
「うむ、特に問題はない」
半魚人もこう二人に返す。
「そもそもわしは海にいることも多いからな」
「だから大丈夫なのね」
「海のものも」
「塩も好きじゃ」
海といえば塩だ、その塩もいけるというのだ。
「だから安心してくれ」
「だといいけれどね」
「じゃあ今から」
「うむ、それではな」
「さてと、今日のお魚はね」
キジムナーの一人がここで楽しそうに言う。
「秋の味覚秋刀魚だよ」
「天麩羅はキスに海老に烏賊。貝柱もあるよ」
河童の一人も言って来る。
「じゃあいいね」
「お酒は日本酒でね」
「ビンガもあるぞ」
半魚人が出してきたのはこの酒だった。
「それがな」
「ビンガって確か」
「そう、ブラジルのお酒よ」
首を傾げかけた愛実に聖花が横から話す。
「サトウキビから作るね」
「そうよね、サトウキビからってことは」
「あれ糖分強いからね」
「それだけでかなり強いわよね」
「そう、強いお酒よ」
酒は糖分が強いものを基にするとアルコール度が高くなる傾向がある、それでビンガもなのだ。
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