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ヘタリア大帝国
TURN104 謎の女その五

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「それだな」
「はい、姉ですね」
「つまり俺のかみさんだな」
「スカーレットさんですか」
「あいつになるな」
「スカーレット長官もがメリカの閣僚でしたね、そういえば」
 ここでこう言う秋山だった。
「国防長官兼副大統領でしたね」
「あの頃はな」
「はい、そうでしたね」
「まさにガメリカのナンバーツーだった」
 そこまでの人物だったというのだ。
「もっともその人に声をかけたのが俺だがな」
「普通はどなたもされません」
 秋山は困った顔になり東郷に返した。
「あの様な方にお声をかけるのは」
「ははは、俺は差別はしない主義だからな」
「一介の士官ががメリカ政府国防長官兼副大統領に声をかけることもですか」
「特に気にしなかった」 
 その頃からそうだったというのだ。
「だから声をかけてだ」
「そのうえで、ですか」
「結婚したからな」
「全く、まさかスカーレットさんも乗られるとは」
 東郷のその誘いにだというのだ。
「よくもそんなことになりました」
「だから真希も産まれた」
 東郷が誰よりも可愛がっているその娘もだというのだ。
「俺にとってこれだけ嬉しいことはない」
「そうですか」
「それだけに残念だ」
 だがこうは言っても表情は変えない、何とか耐えているのだ。
「あの事故はな」
「そうですね、私もそう思います」
「消息不明だがな」
 だが宇宙で船に乗っている中でその船が事故で姿を消したのだ、最早どうなったのかは言うまでもないことだ。
「もうな」
「そうですか」
「だが確かにだ」
「そうした動きですね」
「ああ、実際にスカーレットの用兵にそっくりだ」
 東郷も言う。
「あの艦隊の動きは」
「だからこそ手強いですね」
「今も追撃はしない」
 それもしないというのだ。
「下手に仕掛けてもな」
「返り討ちにあいそうですね」
「敵の損害は少ない、また来る」
 こう呼んでのことだ。
「今はダメージを受けた艦隊を修理工場に入れてだ」
「再襲撃に備えますか」
「そうする」
 戦いには勝ったがそれでもだった。
 枢軸軍はかなりのダメージを受けその傷を癒す必要があった。実際に修理工場に入った艦隊はかなりの数だった。
 その中にはキャロルの艦隊もある、彼等はキリング家のスタッフ達を総動員させて修理に当たらせながら言うのだ。
「全く、してやられたわね」
「全くだね」
 アメリカ妹も苦い顔で応える、彼女の艦隊も修理工場の中にいる。
「随分とね」
「何なのかしらね、あの海賊」
 キャロルは憮然とした顔で言う。
「無茶苦茶強いじゃない」
「動きが普通じゃなかったね」
「主力への一撃離脱もね」
「あの海賊に戦力の三割がやられたわ」 
 そこまでやられたのだ、海賊達に。
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