休養
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ファに腰を下ろす。
「ヒロー。ビールー」
「はいはい」
だらりとしながら、冴子は大に告げる。大もそれに慣れた様に冷蔵庫からビールを冴子に渡す。
「ぷはーっ! 生き返るわー……」
「まだ夕方だろ、それに明日も学校なんだから少しは抑えときなよ?」
「わかってるってー。そういえば千李? アンタ学校は?」
「特別休暇。少し羽を伸ばして来いってじーちゃんに言われてね」
「えー、ずーるーいー!」
冴子は足をバタつかせながら駄々をこねる。それに肩をすくませながら千李は大に耳打ちする。
「……いっつもこんな感じなわけ?」
「そうです……」
「こらそこー! 何ヒソヒソやってんのよー!!」
二人の様子に気付いた冴子がむすっとしながら千李と大を睨んでいた。千李はそれにくつくつと笑いながら、大は呆れ顔で溜息をついていた。
その後、冴子をなだめつつ、三人で幼少期の話をしながら時間は過ぎていった。
「っと、もうこんな時間ね。そろそろ帰るわ」
千李が時計を見ると、既に時刻は午後六時半になっていた。
「送るよ」
「ん、サンキュー大。またね冴子」
「うーい、また来なさいよー」
ソファで横になりながら手を振る冴子を置き、千李と大は外に出た。
そして、極楽院に向け歩き出そうとした時、千李が声を上げる。
「あ、そういえば夕飯どうしよう」
「だったら孝行いってみる?」
「孝行?」
「うん、ホラ子供のとき千姉ちゃんたちと一緒に遊んでた武孝田よい子さんって子がいたでしょ? その子のところが惣菜屋さんなんだよ。凄く美味しい惣菜があるからいいんじゃない?」
大に提案に千李は顎に手を当てながら、幼少期の記憶を掘り起こす。
……よい子、って、あー……あの気の弱そうな子ね。行った事なかったから惣菜屋なんて知らなかったわ。
「うん、じゃあ案内してもらっていいかしら?」
「いいよ。こっち」
千李は大に続いて歩き出した。
数分歩くと、住宅街の一角に賑わう所があった。同時に空腹を誘う芳しい香りが鼻腔をつき始める。
「よい子さん」
「あら、ヒロくん。今日は家で買って行ってくれるの?」
「ああえっと、俺じゃなくてこっちの……」
「久しぶりね、よい子」
「え……?」
千李の声によい子は一瞬怪訝そうな顔をする。しかし、何か思い出したように手を合わせると、
「もしかして千李ちゃん?」
「正解。よく覚えててくれたわね」
「まぁ冴ちゃんとアレだけ喧嘩してればねぇ……。必然的にも覚えちゃうかな」
よい子は口元に手を当てながらクスクスと笑う。
「そんなも
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