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真剣で武神の姉に恋しなさい!
休養
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せないようにしてるけど」

「それがいいだろうね。あの歳で気を使い始めたら、昔のアンタのようになるのは明白だ」

 それまで笑顔だった三大が少しだけトーンを低くした声で千李に告げた。千李もそれに頷きながら、

「ええ、わかってる。あの子だけは昔の私のようには絶対にさせない」

「……がんばりな」

 三大の静かな激励に千李は無言で頷いた。





 瑠奈が遊びつかれて寝てしまった後、寝かしつけた千李は極楽院を後にした。行き先は長谷家である。

 髪形を変えて多少変装をしているものの、実際はポニーテールをツインテールにし、伊達目眼を着用しただけである。

 ……にしても、この歳になってツインテとか……。

「――やっぱり若干恥ずかしいわね……」

 顔を俯かせながら、僅かに頬を赤らめる千李は本当に恥ずかしそうだ。

 そうこうしている内に、千李は長谷家の前に到着した。時刻は午後四時半、高校も既に終わっている時間だろう。

「いなかったらその辺で待ってればいいしね」

 千李はそのままインターホンに手を伸ばす、すると、

「あれ? もしかして千姉ちゃん?」

「ん? あ、大。偶然」

 千李が振り返るとそこには両手に買い物袋を提げた大がいた。彼は小首を傾げながら、

「うちに何か用?」

「ええ、ちょっとね。正確には大や冴子さんに用があるんだけど」

「じゃあ、あがってく? 姉ちゃんもそろそろ帰ってくると思うし、コーヒー淹れるよ」

「そう、ありがとね」

 大は笑顔で答えつつ、玄関の鍵を開けた。

「お邪魔します」

 千李は軽く頭を下げつつ、長谷家に入る。

 大の後に続いていくと、リビングに案内され、ソファに座っていてくれと言われた。

「少し待っててね。コーヒー淹れるから」

「あいあいー」

 ソファに腰を下ろしつつ、キッチンに消える大の姿を見送りながら、無作法であると思いながらもリビングを見渡した。

 ……綺麗に片付いてるわねー。冴子……いや、大でしょうね。

 リビングは思った以上に綺麗に片付けられていた。きちんと整理整頓がなされていて、埃一つ見当たらない。

 長谷家は三大から聞いた話によると、現在冴子と大の二人暮らし状態らしい。両親は仕事の関係上帰って来れないとのことだ。

 ……冴子がこんな綺麗にしとけるわけないでしょうし。

 苦笑しつつ千李はキッチンに立つ大を見つめる。彼はコーヒーを作るためお湯を沸かしつつ、ペーパードリップで作ろうとしているのか、カップにペーパーを取り付けている。

 やがて、お湯が沸き大はカップとポットをお盆に乗せてやってきた。

「お待たせ。本当はペーパードリップじゃなく
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