休養
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を見て千李は小さく笑みを浮かべる。その目には嬉しさとやさしさが満ちていた。
すると千李は瑠奈の元にしゃがみこむと瑠奈の小さな手を握りながら、
「ありがとう、瑠奈。……でもこれだけは覚えておいて、戦いに呑まれてはダメ。自分が何のために戦うのか、きちんと理解をしないといつか身を滅ぼすことになるわ。貴女は昔の私のようになってはダメよ」
千李の口調は優しいものだったがその中には確かな強さと、凄みが感じられる。それを感じ取ったのか、瑠奈も顔を少し緊張させながら静かに頷いた。
瑠奈がうなずいたのを確認した千李は、柔和な笑みを浮かべながら彼女の頭を撫でる。
すると、瑠奈が思い至ったように「あっ」と声を漏らした。
「ねぇおかあさん。ワンちゃんだして!!」
「ワンちゃん? ……ああ、気獣のことね。ちょっと待っててね」
千李は立ち上がると右腕に気を集中させる。数瞬の後、千李の右腕から白銀色の狼が現れる。今は戦闘中ではないからか、その狼の表情はどこか柔らかく見える。
狼は意思を持つかのように耳の裏を掻く素振りを見せる。
……結局この気獣って意思あんのかしらね?
小首をかしげながら千李が気獣である狼を眺めていると、
「やっぱりかわいー」
「へ?」
瑠奈が気獣に近寄り頭を撫でていた。
気獣は頭を撫でられたことにより、気持ちよさそうにその目を細めている。その姿は、はたから見れば、生きた動物そのものだった。
……触れるんだ……。あ、でもジジイの毘沙門天も一応触れるんだからありえるっちゃありえるのかしら。
顎に手を当てながら考え込む千李とは裏腹に、瑠奈と気獣はなかよく戯れている。気獣自身鉄心との戦闘の時の凶暴さは何処かに行ってしまったかのようにおとなしい。
「ねぇねぇおかあさん。このこ、おなまえあるの?」
「え? 名前? いや……考えてなかったわね」
「じゃあわたしかんがえるー!」
「いいわよ。好きなカッコイイ名前付けてあげてね?」
「はーい」
千李は笑いながら縁側に腰をかけると、気獣の前でうんうんと悩んでいる瑠奈を見つめる。
時折、気獣の周りをぐるぐると回っては頭を捻る瑠奈が可愛く思え、千李は頬を緩ませる。
「それにしても、気を形にするとは恐れ入るねぇ。そんなことができるのは鉄心ちゃんぐらいだと思っていたが」
いつの間にか千李の隣に来ていた三大が、腰を下ろしながら呟いた。
「まぁ、私だってできたのはほんのつい最近だし」
「それでも十代でアレだけの気を凝縮できるんだからすごいもんだけどねぇ。それに、瑠奈も少し見ない間にかなり成長したみたいだねぇ」
「一応川神院で鍛えてるしね。気はあまり使わ
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