第四章
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「じゃあ僕はね」
「どっちともだな」
「けれど両方共五人前ずつね」
笑顔でこう言うのだった。
「それだけ御願いするよ」
「相変わらず食うな」
「だって体格がこれだから」
自分の右手でその胸を手の平で叩いての言葉だ。
「どうしても食べないとね」
「変わらないな、その体格は」
「子供の頃からだしね」
「無意味にでかくなりやがって」
彼は義国のその体格を見て苦笑いで言った。
「本当にな」
「仕方ないじゃない、大きくなるのは」
「まあな。それでだな」
「うん、お蕎麦御願いね」
「すぐに作ってやる」
兄弟でそのやり取りをした、彼は早速蕎麦を作りはじめた。粉をまぶした「手作りで自身で包丁を入れた蕎麦を茹ではじめる、その動きを見ながらだった。
客達は義国に対して小さな声でこう尋ねた、その尋ねることとは。
「親父さんのお兄さんってな」
「あの人なのはわかったけれどな」
「はい、祥行っていいます」
義国は笑顔で兄の名前も話した。
「僕より三つ上のお兄ちゃんです」
「顔は似てるけれどな」
「体格はな」
問題はそこだった、彼等が蕎麦打ちに必要だとするそれだ。
「結構あるけれどな」
「けれど親父さんと比べたらな」
「やっぱり違うだろ」
「体重は半分位違うだろ」
「それはそうですけれどね」
義国もそのことは認めた、だが笑ってこう彼等に話した。
「けれどお兄ちゃん子供の頃から喧嘩では誰にも負けなくて」
「えっ、そうなのかい」
「強いのかい」
「力は僕よりずっとないですよ」
巨体の彼よりもだ。
「ずっと、ですか」
「それでも強かったのかい」
「誰にも負けないのかい」
「そうなんです、それに」
彼はさらに話を続ける。
「蕎麦打ちも」
「それだよな、肝心の」
「それもなんだな」
「はい、僕よりずっと凄いですから」
ここでもこの話をするのだった。
「ですから是非」
「食べてか」
「それでか」
「確かめて下さい」
「まあ親父さんがそう言うんならな」
「そうさせてもらうな」
客達も義国の言葉に頷くことにした、そして祥行が蕎麦を出してくれるのを待っていた。暫くしてだった。
彼等の前にそのざるそばとかけそばが来た、祥行は弟に対して言った。見れば彼の前にあるのはまだ一人前ずつだった。
「これから四人前作るからな」
「うん、じゃあこれを食べながら待ってるね」
「そうしろ、金はいつも通り貰うからな」
「兄弟なのに?」
「兄弟でも商売だからな」
この辺りはシビアだというのだ。
「そうさせてもらうからな」
「わかったよ、それじゃあね」
義国は兄のこのしっかりしたところには苦笑いになったがそれでも頷いた、そしてだった。
客達と共に箸を取り蕎麦を食べは
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