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魔王の友を持つ魔王
§35 白銀の軌跡と漆黒の螺旋
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化物との誓約――彼の正体を黙秘すること――を破ってしまった結果招かれるであろう、絶望的な未来を想像して。

―――水羽黎斗はカンピオーネかい?―――

 ドニのあの問いに動揺さえしなければ。僅かな動揺から彼の主は疑惑を確信に変えた。あの時は、ここまで一方的な展開になるとは予想していなかった。

「なんなのだ、あの方は……!!」

 それだけならまだしも、彼の振るう剣の禍々しさは、アンドレアに本能的な恐怖を植え付ける。自らの主(ドニ)と戦う"アレ"は何だ? アレを親友(ドニ)の同朋と、思いたくなかった。





「ほらっ!!」

 ドニが後ろに吹き飛ばされる。黎斗程度の腕力では呪術で強化していても、矮小なる英雄(シタサキサンスン)で強化していてもここまでの距離は吹き飛ばせなかっただろう。それならばこれはドニが、仕切り直したくて後ろへ下がったと見るべきか。

「くっ……」

 この時、腹部の違和感(・・・・・・)に気付けていれば、展開は変わっていたかもしれない。鋼の身体に権能無しで傷をつけられた、という事に注視しすぎていたのは、間違いなく彼の敗因だった。斬撃だと思った感覚は斬撃に非ず。彼の肉体が熔けている(・・・・・)という―――事実。

「これで終わりだよ」

 大地に手の平を置く。マモンの権能で周囲一帯の大地を鉄に変化させたのだ。

「!?」

 悪寒を感じて飛びずさろうとしたドニだが、それも残念ながら、叶うことは無い。雁字搦めに縛られたワイヤーが、ドニの動きを阻害する。

「無駄な事を。この程度のヒモで――!?」

 重量に物を言わせて引きちぎろうと自身の重みを増やした事も、敗因だっただろう。言葉は最後まで続かない。爆音と共に周囲の水分が一斉に気化し、気体の体積が無慈悲なまでに膨張する。即ち、爆発を起こす。―――普通ならば。

「爆発されるとちょいと困るんだよねぇ」

 嘯く黎斗は左手に持つ呪符を翳した。緑に淡く輝く札は、爆風の威力を抑え微弱な上昇気流へと軽減させる。一瞬白煙が周囲を覆ったが、上昇気流によりすぐにそれは空の彼方へ飛んでいく。

「数秒持てば十分だったんだわ、うん。……もう聞こえないか」

 周囲の気配を探り無事、ドニがいないことを確認する。相手が魔王(カンピオーネ)ならば油断が死と直結しかねない。

「よっ、と」

 アンドレアまで被害が及ぶ前に彼を回収。安全な場所に放り投げる。それも落下した際に着地の衝撃を完全に殺すような力配分で。これで、決着だ。

「あ、一応始末しなきゃね」

 液体と化していた(・・・・・・・・)大地をマモンの力で再び(・・)金属化する。渦を巻くように外周から固化、黎斗の足元に螺旋が収束していく。きゅ
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