§35 白銀の軌跡と漆黒の螺旋
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ーナスステージ》だ。僕が戦ってやる」
「そうこなくっちゃ!」
「ただし」
喜ぶドニに被せる様に言葉を紡ぐ。これだけは確約させねば。そのために「ご褒美」などと役者のように振る舞ったのだから。ドニに満足してもらえるような演出をすればきっと条件を呑んでくれる筈。
「僕の正体を、絶対に漏らさないこと。これが守られない場合僕は何が有ろうと戦わないよ」
黙ってもらう代償に一戦交える程度なら安いものだ。気障ったらしい喋り方は正直とっても恥ずかしかったけど。
「戦ってくれるんならそこらへんはどーでもいいよ!」
ニコニコと満面の笑みを浮かべるドニ。
「じゃあ、そういうワケだから」
銀に輝く右腕をだらりとさげて、サルバトーレ・ドニは宣言する。
「僕は僕に断てぬ存在を許さない」
「さて」
言ったは良いがどうしよう。黎斗としてはそれに尽きる。彼の権能は、どう贔屓目に見ても近〜中距離専門だ。対するこちらは遠距離中距離近距離なんでもござれ。遠くからチマチマ銃やら弓を撃っても良いし、至近距離で剣やら槍、(あまり得意ではないが)殴り合いも出来る。微妙な距離からワイヤーや術で攻めても良い。ドニに投擲技もある事はわかるが、投擲ならばこちらも投擲で対応出来るのは旅客機からの落下の時点で証明済み。焦点は必然的に、ドニが自身の間合いにいかにして黎斗を誘い込むか、という形になる。
「どーしよ……」
しばし逡巡。別にドニの間合いに入ってやる義理もへったくれもないのだけれど。
「選択肢ミスると強制的に毎日勝負挑まれる展開になりそうだよね」
友情ENDならまだしも、その可能性は胡麻粒より小さいだろう。
「あーあ。どうしてこうなった」
ロンギヌスを見せただけでこうなるとは。剣を避けつつため息を吐く。相手の踏み出した足を払い、勢いを利用して放り出す。くるくるとドニは宙を舞って綺麗に飛んでいく。この数秒で、態勢を整える。
「しゃーない。こっちも至近距離勝負、か」
自身の得意とする射程でズタボロに負ければ、しばらくは来なくなるだろう。遠距離勝負で勝っても、卑怯だのなんだの言われて結局毎回襲来しそうだし。
「さて、じゃあ行くぞ」
影の扉を開き、武器を取り出す。二振りの無骨な大剣を持って、邪気の力を剣に満たす。邪気化した自身の一部を武器に”汚染”させるような感覚。所有者の命を奪う魔剣のようにおどおどしく、邪神の加護を受けたかのように禍々しく。
「ん、こんなもんかなぁ」
「余所見とは余裕だねぇ黎斗!」
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