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強迫観念
第一章
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                         強迫観念
 根室千佳はこの日クラスの友達と自分の家のリビングでテレビゲームをして遊んでいた、その中でだった。
 ふと時計を見てだ、嫌な顔になって友達に言った。
「もうすぐお家が騒がしくなるけれど気にしないでね」
「気にしないでねって?」
「いや、もうそろそろだから」
 だからだというのだ。
「気にしないでね」
「何に気にしないでっていうの?」
 友達は千佳の言葉の意味がわからず首を捻って尋ねた。
「台風か地震でも来るの?」
「うちの家だけね」
 これが千佳の返事だった。
「来るのよ、これが」
「今日何かあったの?土曜だけれど」
「土曜だからよ、普段は夜になるけれど」
「普段は夜って」
「とにかく、騒ぎがあるけれど気にしないでね」
「私千佳ちゃんの言ってる意味わからないけれど」
「すぐにわかるわ」
 また壁の時計を見て言う。
「本当にね」
「すぐにって」
「試合が終わるから」
 だからだというのだ。
「野球のね」
「ああ、そういえば今日デーゲームだったわね」
「そう、だからね」
 こう言うのだった。
「まあ今日はましだろうけれど」
「ましって?」
「相手が横浜だから」
 それでましだというのだ。
「そんなに騒がないけれど」
「ええと、今日横浜と試合するのって」
 友達はカードから考えた、その相手はというと。
「阪神じゃない」
「そう、阪神が勝てばいいけれど」
 だが、だというのだ。
「負ければね」
「その時はなのね」
「騒ぎになるから」
 それでだというのだ。
「注意してね」
「何か不吉な感じがするんだけれど」
 友達は赤いシャツと白いズボンの千佳に対して言った。
「それって」
「するでしょ」
「だって阪神だから」
 友達も言う。
「勝てばいいけれど」
「阪神よ」 
 千佳は憮然とした顔で言った。
「だからね」
「勝つか負けるかはね」
「阪神に絶対はないから」
 だからだというのだ。
「負けたらね」
「あっ、まずいわ」
 友達はここで己の携帯を出してそれでその阪神対横浜のカードをチェックした、その状況はどうかというと。
「九回裏で三対二よ」
「阪神負けてるでしょ」
「ええ、一点差でね」
「阪神の負け方ね」
 千佳は憮然とした顔で言った。
「まあ広島だともっと悲惨だけれど」
「何でそこで広島なの?」
「ちょっとね」
 千佳はその理由jは答えなかった、だがだった。
 その点数を聞いてだ、こう言うのだった。
「もうすぐだから」
「逆転はないのね」
「阪神よ」
 だからだというのだ。
「一点差でいつも負けるでしょ」
「そういえばそうよね」
「阪神はいつも打たないのよ」

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