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義手
第八章
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「叔父さんがそう言うのなら」
 甥である彼は叔父のことがわかっていた、それならだった。
「有り難うね」
「だからお礼はいいって言ってるだろ、それじゃあな」
「教会のお仕事の後でだね」
「そこであの時みたいに二人で楽しもうな、そしてな」
「これからもね」
「ああ、時々そうしような」
 長い時を経て再会した二人は笑顔で心を通わせていた、そして。
 次の日町を後にするジョージにエドワードは手を差し出した、その手は。
 両手だった、左手だけでなく右手もあった。その右手にあったのは。
「義手なんだ」
「ああ、こうした時には付けてるよ」
「何かその手って」
「御前の手に似せたんだよ、何ていうかな」
 照れ臭そうに笑っての言葉だった。
「御前のことを思い出してな、申し訳ないとか色々思いながらもな」
「そうだったんだ」
「悪いことしたか、やっぱりな」
「ううん、嬉しいよ」
 その義手からも叔父の心を感じ取ってだ、ジョージはこうエドワードに言った。
「その義手、僕がいない間も大切にしてね」
「御前と思ってだよな」
「うん、そうしてね」
「ああ、絶対にそうするよ」
 二人はこの時も心を通い合わせてそうしてだった。
 両手で固い握手をした、エドワードの右手はとても温かかった。ジョージはその温かさを感じながらそのうえで満足した気持ちで今は別れた。そして再会の時を楽しみにしながら右手に感じたその温もりを思い出すのだった。


義手   完


                             2013・5・26
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