第五章
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「その田舎町ですが」
「何という町ですか?」
「地図を送りますね」
彼に携帯にメールでだというのだ。
「そして名前は」
「はい」
名前も聞いた、そして地図も送ってもらった。
そのうえでだ、興信所の人はこうも言ってきた。
「町の東の教会におられるそうです」
「教会ですか」
「プロテスタントの教会です」
カトリックではなかった、ジョージもエドワードもプロテスタントだ。とはいってもイギリス系に多かったピューリタンではない。
「そこの手伝いとしてです」
「おられるんですね」
「住み込みで。どうされますか?」
「行きます」
すぐにだ、時間を作ってだというのだ。
「そうします」
彼の今いるヒューストンからだ、そうするというのだ。
「仕事は有給を取って」
「そうですか、それでは」
「有り難うございます、お金のことは」
「はい、そのことですが」
謝礼の話もした、そのことも済ませてからだった。
ジョージはすぐにヒューストンからアイダホのその町まで向かった、その町はアイダホの外れにある本当に小さな町だった。
今まで聞いたこともない様な町のそのさらに外れにある教会に向かった、教会は今にも崩れそうな小さな古い教会だった。
中に入ると礼拝堂もまた古いものだった、古いが綺麗に掃除されていた。
その中に入ると年老いた丸眼鏡の牧師がいた、牧師は彼の顔を見るとすぐにこう言った。
「おや、ヘンリーさんによく似ておられますね」
「ヘンリーさん?」
その名前を聞いてだ、彼は確信した。
「その人はこの教会におられるんですね」
「はい、何年も前から」
そうだとだ、牧師は彼に穏やかな笑顔で答えた。
「住み込みで働いてもらっています」
「そうですか」
「ヘンリーさんが何か」
「今何処におられますか?」
ジョージははやる気持ちを抑えて牧師に尋ねた。
「一体」
「今買い出しに出ておられます」
牧師は穏やかな顔で彼に話した。
「もうすぐ戻られます」
「そうですか」
「右手はありませんがとても働き者で真面目で」
牧師は今度は彼自身のことを話してきた。
「穏やかな方ですよ」
「そうなんですね」
「ではヘンリーさんとですね」
「お会いしても宜しいですか?」
「はい」
微笑んでだ、ジョージは牧師に答えた。
「そうさせて下さい」
「わかりました、ではこちらでお待ち下さい」
礼拝堂でだと、牧師はジョージに告げた。ジョージもそれを受けてだった。
礼拝堂で彼を待った、暫くしてその彼が礼拝堂に入って来てこう言った。
「牧師様、パンと卵を買ってきました」
「あっ・・・・・・」
ジョージは左手に荷物を持ちながらも器用にその左手で礼拝堂の扉を開けて入って来た彼を見て思わず声をあげ
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