暁 〜小説投稿サイト〜
旗手
第二章
[1/2]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
「急げ、、さもないとな」
「ドイツ軍が来ますね」
「奴等の戦車が」
「そうだ、奴等の動きは速い」
 まさに電撃だった、その速さは。
「歩兵では追いつかれるぞ」
「そうですね、ここは急がねば」
「我々では」
 この連隊は歩兵連隊だ、第一次世界大戦の時の様に機械化されていない部隊だ、これではドイツ軍の戦車や装甲車にはだった。
「碌に馬もありません」
「それでは」
「パリまで逃げればな」
 それでだというのだ。
「何とかなるからな」
「パリに籠城ですか」
「そうなりますか」
「非武装都市宣言の話も出ているがな」
 今はそこまで決まっていないというのだ。
「だがとにかくな」
「今は、ですね」
「パリまで逃れて」
「そこで抗戦を目指すかだ」
 それともだった、選択肢はもう一つあった。
「イギリス軍と一緒にダンケルクまで逃れるかだ」
「そのどちらかですね」
「我々の取るべき道は」
 どちらにしても撤退だ、少なくとも今それを続けている最中だ。
 その彼等に師団司令部から命令が来た、それはというと。
「ダンケルクにか」
「はい、伝令がそう伝えてきました」
「そうか、わかった」
 連隊長はその話を聞いて確かな顔で頷いた、そしてだった。
 連対をダンケルク方面に向かわせた、連隊の旗もそちらに向かう。
 それを持つまるゴットは旗を持ちつつ後ろを見てだ、こう周りに言った。
「なあ、今にもな」
「ドイツ軍がか」
「来るかも知れないっていうんだな」
「ああ、奴等の動きは速いからな」
 彼もこう言うのだった、連隊長と同じく。
「だからな」
「そうだな、速いうちにな」
「ダンケルクまで逃げないとな」
「ドイツ軍は今どの辺りにいるんだ?」
 マルゴットは今も後ろを見ている、そのうえで再び周りに問うた。
「連中は」
「後方三十キロのところらしいな」
「三十キロか」
「ああ、離れてはいるけれどな」
 だが、だった。これまでの戦争では安全と言えるその距離でもだった。
「今のr円中だったらな」
「あっという間に来るよな」
「本当にな」
 その戦車と装甲車でだ、迫って来るというのだ。
「馬よりも速いからな」
「しかも鉄だからな」
 尚且つ砲撃や銃撃までしてくる、まさに圧倒的だった。 
それだけの戦力があるからだ、彼等もだった。
「追いつかれる危険もある」
「しかも追いつかれたらな」
 その時はだった。
「俺達じゃ相手にならないからな」
「戦車は圧倒的だからな」
「空からも来るからな」
 このこともあった、ドイツ軍はただ戦車や装甲車で攻めて来るだけではない、空から航空機でも来るのだ。
 マルゴット達は今度は空を見た、今空は青く晴れ渡っているがそれがかえって忌々しかった。
「晴
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ