第四章
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「全くね」
「そうだね、本当にね」
「甘いコーヒーなんてあるものか」
シャルルに大してこうも言った彼だった。
「それは何かの間違いだよ」
「じゃあタレーランは嘘を吐いたのかい?」
「ナポレオンさえ欺いた男だよ」
そのうえでフランスを救った、ベルサイユ会議においてそれまでの戦乱の責任をナポレオンに全て擦り付けてフランスを救ったのである、フーシェと共に。
その前に彼は散々ナポレオンを裏切り欺いた、あのナポレオンですらこの人物とフーシェはどうにもならなかったのだ。
それでだ、ペニーもここで言うのだ。
「それなら後世の僕達も」
「騙しても不思議じゃない」
「そうじゃないかな」
「まさかと思うけれどね」
「いや、タレーランだから」
稀代の権謀家である彼だからだとだ、ペニーは主張する。
「あるだろ」
「有り得るか」
「うん、それでね」
「この話は嘘ってことで」
「それかやっぱりあれだよ」
「砂糖やコーヒーを入れたか」
「そうだよ、流石にそうしたら甘いよ」
苦いだけのコーヒーでもだ、そうなるというのだ。
「タレーランはそうしてコーヒーを飲んでいたんだよ」
「つまりコーヒーのありのままの味は楽しんでいなかったのかな」
「そうじゃないかな、僕は今そう思ってるよ」
「成程ね、それじゃあだけれど」
「うん、コーヒーを頼もうか」
その黒い熱く純粋なコーヒーをだというのだ、結局彼等はコーヒーは恋の様に甘くないという結論に達しようとしていた。
そのうえでコーヒーと今回はだった。
「今日は甘いものも頼むか」
「ああ、いいね」
ペニーはシャルルのその誘いに乗った、そしてだった。
店のメニューを見てだ、こう彼に言った。
「ケーキはどうだい?」
「ケーキかい」
「うん、それでどうかな」
ケーキはどうかというのだ。
「二人でね」
「よし、じゃあチーズケーキにするか」
「僕もそれにするよ」
こう話してそしてであった、二人はコーヒーの他にチーズケーキも頼んだ。
そのうえでケーキを食べてだ、そうして。
コーヒーを飲む、するとだった。
まずはシャルルが目を丸くさせてこうペニーに言った、その言葉はというと。
「甘いね」
「そうだね」
ペニーもその通りだとシャルルの言葉に答えた。
「甘いよ、これは」
「コーヒーが甘い、いや」
「ケーキもあるから甘いんだよ」
「一緒に食べるからコーヒーも甘くなる」
「そういうことだね」
「つまりは」
シャルルはさらに言った。
「恋は一人だけじゃできないじゃない」
「相手が必ず必要だっていうんだね」
「結婚だってそうじゃないか」
伴侶が必要だ、だからシャルルにしてもペニーにしてもそれぞれ妻がいる。
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