第二章
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あまりいいものではなかった、それでこうマスターに言ったのである。
「あの、最近は」
「最近?お店の売上はいいよ」
「いや、おかしな客とか来ないかい?」
「マナーの悪いお客さんについてはいちいち気にしていられないよ」
飲み屋だ、そうした客にはこと欠かない。人は酔えばハメを外す。このことはどの国の人間でも一緒である。
「この店に」
「ああ、外国人は来るなとか言う」
「来ない?そんな奴」
「来るよ、たまにね」
マスターは大和に素っ気なく答える。
「何処かの国の人間は出て行けだの死ねだのね」
「そういう奴って本当にいるんだね」
「いるものだよ、本当にね」
マスターはこのことも素っ気なく答えた。
「この辺りはね」
「ううん、いて欲しくないと思ったけれど」
「最近そういう人間も出て来たよ」
「営業妨害じゃないかな」
「そうだよ、まさにね」
それ以外の何者でもないとだ、マスターも答える。
「厄介なことにね」
「誰がどういう考えを持っても構わないけれどね」
「それで他人に迷惑をかけるのはね」
「駄目だよね」
「そういうことがわかってないんだよ」
わざわざ店にまで来て講義をする人間はというのだ。
「本当にね」
「困った連中だね」
「だからそうした連中は追い払ってるよ」
「それがいいよ。というかそういう連中ってね」
「この店のことを何も知らないんだよ」
マスターはこう言って自分の店の中をカウンターから見回した、本当に色々な国の人がいて楽しく飲み食いをしている。
メニューも酒も様々だ、それを見て言うのだ。
「いい店にしているつもりだよ」
「そうだよね。よくそういう連中って他の国の人間のマナーがどうとか言うけれど」
「ああ、多少の違いがあっても同じだよ」
そのマナーについても言うマスターだった。
「ほら、見ればわかるじゃないか」
「こうした店だと余計にね」
飲み屋だ、酒を飲む店だ。酒が入ればだ。
「わかるよね」
「同じじゃないか、何処も」
「そういう抗議を店にまでしてくる連中こそがだよね」
「マナーがなっていないよ」
営業妨害までしてくる連中は、というのだ。本末転倒も甚だしい。
「わしそういう連中は嫌いで」
「僕もだよ」
大和はマスターのその言葉に頷いて返した。
「というかね」
「そうした連中こそね」
「なっていないね」
「色々な国があるさ」555
マスターもこのことはあえてとやかく言わない、民主主義の国もあればそうでない国もあり一つの宗教だけの国もある、そして戦争をしている国もある。
だが、だ。そこにいる人間はというと。
「それぞれだからね」
「いい人がいれば悪い人もいるよね」
「そうそう、そうなんだよ」
その通りだとだ、マスターは大和
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