第一物語・後半-日来独立編-
第五十七章 解放《2》
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申し訳無さそうに片手を上げ。
「すみませんが、私って朱鳥天の出なので詳しいことは知らないんですけども。私達にセーランは一体何を隠しているんですか?」
「…………。ねえ、あんたってば朱鳥天に情報漏洩なんてしてないわよね?」
質問を質問で返された。
急な質問だが恋和はいやいやと、掌を左右に振る。
確かにこの状況では朱鳥天の出というだけで疑われてもしょうがないことなのだが、いきなり来たのだから冷や汗も出てくるものだ。
「しませんって」
「幾らなんでもそれは酷いと思いますよ、灯」
「ならいいわ」
美兎に言われ、だがそんなことは重要ではないと言わんばかりに灯は返事をする。
少しばかし冷た過ぎたわね、と思いながらも、会話の流れは止めずに。
「セーランはね、ただの人族じゃないの」
「ただの人族ではない? だとすると……」
「あんたが思ってる以上のことよ。私達の長は世界が注目せざるを得ない、ある秘密を抱えてるの」
意味あり気に笑みを見せる灯。
なんなのかと興味が沸いたが、自分達の長が丁度話し始めたために、長の言葉を聴くためにそれを聞けなかった。
だがこの話しを聞いていれば、いずれは分かることなのだから焦る必要もない。
すると、ここで飛豊が一人立ち上がる。
「まだまだ先だが私も行かないとな」
言い、皆が長であるセーランの言葉に注目しているなか皆から数歩離れる。離れると同時、空から一匹の竜が飛んで来た。
小さい身体をくねらせているリュウだ。
まだ黄森の戦闘艦が周りを飛んでいるからか慌てたような、急ぐように向かって来た。
「お迎え参上ー」
長莵神社の鳥居を越え、境内へとせっせと身体を揺らし入ってきた。
そのまま下降し続けるが、地面に落ちることなくリュウは浮かんだまま、近付いて来る飛豊を待った。
数秒後。来た飛豊の頭の上を、円を描くように一回りし、
「行くかー?」
問い掛けた。
元気だなあ、と飛豊は思いながら頷き。
「頼む。西貿易区域の解放場までだが、大丈夫か」
「心配無いなー。リュウはこう見えても立派な竜だからなー、ビュンビュン飛べるぞー。逆に飛豊が吹き飛ばされないか心配だー」
「加護を付けるから心配は無い」
神社を背に会話をしている飛豊の背後から、石を敷き詰めた道を歩き灯と美兎が来た。
セーランの言葉も気にはなったのだが、聴かずともいいと判断した。信じていたから。
残された恋和と美琴は、それでもセーランの言葉を聴くことにした。
そんな二人を除き、三人と一匹の会話。
まず美兎の一言から会話は始まり。
「上手くいきますかね」
「どうだろうな。セーラン次第だろうが、まあ、信じるさ。私の役目は覇王会伝達者として宇天長を救出した時、その完了を告げること。そして権限に
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