マザーズ・ロザリオ編
挿話集
ダンジョン・デートA
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が《蓮華刀・紅桜》の焔はただの火では無い。壊劫の時に世界の万物を焼き尽くし、灰燼とする劫火だ。対象は炎といえ例外ではない。
「ふんっ!」
黒と紅の炎が消えるや否や、間合いを詰めて鋭い牙を連続して斬りつける。
「ギャア!?」
バキャ、という音と共に牙が砕け散り、マッサカー・エンペラーは大きく後退した。―――その位置には小さな影が示し合わせたように既に控えている。
「ッ!!……りゃあ!!」
跳躍して黒い流星となったユウキは龍の後頭部を斬りつけた後、壁を蹴ってターンし、同じ場所を斬りつける。退避した所を襲ってきたユウキに多くヘイトが堪ったのか、うなり声と共にそちらを向こうとが、それもまた叶わなかった。
「余所見はいかんぞ?」
大太刀単発重攻撃《轟山剣》
超威力の斬撃が龍の首筋を斬り付け、激しいダメージエフェクトが飛び散る。二段目のHPバーが消滅し、残りは一段だ。
「グオオオオォォォォッーーー!!」
途端、目がギンッと赤く光り、龍の体の周りを黒い障気が渦巻き始める。
(……っ!?マズイな)
「ユウキ、退避!」
「分かった!」
ユウキもその勘でマズイことは覚っていたのだろう。言葉を発した時には既に退避途中だった。
「さぁて、どうかな?」
小太刀を抜いて投擲、狙いはギラついている目。
だがそれはまとわれた障気に阻まれてダメージを与える事は無かった。
「……やっかいな」
この手の特殊防御は攻撃力の問題ではなく、一定時間内に複数回攻撃を当て、障壁を突破する他ない。
ユウキの片手剣や俺の大太刀では連撃数が心許ない。
ユウキもそれは分かっているので攻めあぐねている。現時点で考えられる突破口はユウキのプレイヤースキルによる連撃からの俺の重攻撃の繰り返し……もしくは俺が禁忌を破るかの二択。
(どうする……?)
ゆっくり考えている暇はなく、龍のより速くなった物理攻撃が襲いかかる。
「…………ったく」
どっち道こっちが不利だから……。などと姑息な言い訳を自分にしつつ、大太刀を鞘に納める。
「ユウキ、よく見てろ」
「え?」
龍が顎を大きく開け、飛びかかって来る。接触の刹那、その鋭い頭のラインをなぞるように体を運び、背中越しに巨体をいなす。
「まず、攻撃っていうのは自分からするものじゃない」
突如として敵の姿が消えた龍は訳が分からず硬直する。
「近づいて行くという行為は『攻撃』の為ではなく、相手の陣地―――つまり攻撃範囲を占領し、手出しを出来ないようにするものだ」
背中越しに感じるのは強固な防御力を誇る黒の障壁。
半歩引きながら大太刀を抜刀、まだ動かない巨龍を斬り付ける。龍
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