マザーズ・ロザリオ編
挿話集
ダンジョン・デートA
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。私が作りたいのは『ゲームであって遊びではない』世界だ」
遊びではない……?単なるこの男の考え方か、それとも言葉通りの意味なのか。もしそうだとすれば……。
「……そうゆう事なら、分かった。それで、どうすればいい?」
疑問は取り合えず棚上げし、俺は与えられた作業に没頭した。茅場晶彦以下担当者達がデザインした技の数々を検証、改良し完成度を高めていった。
一方、水面下で俺は奴の行動の監視を始めた。だが、元々の慎重さに加えて幾重もの機密管理が施されている奴専用のラボや開発室には近づく事が出来ず、何をしているのか分かった事は少ない。
小さなピースから推測し、仮説を立て、何気無く疑問を投げ掛けてみる。茅場はSAOに関する事ならかなり饒舌に話した。彼自身の過去にまつわる様々な要素やゲーム内に組み込む世界の核心にせまるサブストーリーのあらすじ。それらを聞く中で俺はやがて立てた予想の1つが確信に変わっていった。
ソードスキルが完成し、何かと理由を付けてそれら全ての動きを自分の身に刻み付けた頃。今後の予測しえる事態に対する全ての準備は整っていた。
「―――と、こんなものか」
およそ一時間。本当はその半分近くの時間で終わらせるつもりだったが、ソードスキル開発辺りは懐かしさなども相まって熱が入ってしまった。ユウキもそこは嬉々として聴いていたので良かっが…………つくづく単純な奴だな、俺は。
そろそろクエストに戻ろうと立ち上がる。一時間も硬い地面に座っていたのに体のどこも痛くならないのは流石仮想世界だ。
とは言え気分の問題で伸びをしたりしているが、ユウキがまだ立ち上がっていない。
「どうした、大丈夫か?」
「……うん。あのさ螢」
「何?」
「ありがとう」
ユウキは顔を上げると、どこか照れたような笑みを浮かべた。
「螢に会えて良かった。……本当に。螢が『助ける』って言ってくれなかったら、ボク……あ」
その先は言わせなかった。頭を優しく撫で、その手を差し出す。
「行こう」
ユウキの言葉は俺にとってその言葉以上の重みがある。そうさせているのは恐らく彼女に対して無責任な事を言った己の愚かさを後悔しているからだ。その事に目を背けるつもりは無い。
だが、俺には彼女に感謝される資格もまた無い。ユウキと話したあの小島での一件の日に2人の物語は『始まった』。
それまでの事は記憶の底に埋め、時によって消えていくのに任す。できることならそうしたい……いや、ユウキにはそうして貰いたい。
背負うのは俺だけで十分だ―――
螺旋階段は3フロア分あるため、結構長い。もし階段にもMobが出るとし
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