暁 〜小説投稿サイト〜
失われし記憶、追憶の日々【精霊使いの剣舞編】
第十九話「姦しい二人」
[4/5]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
いくわ。それでどうかしら?」


「むむっ」


「それとも自信ない? リシャルト君が取られちゃうのを大人しく見てるのかしら?」


「くっ……いいわ。受けて立つわよ!」


 言い合う二人を尻目に溜息をついた俺は席を立った。


 これ以上付き合っていられん。


 疲弊した心の癒しを求めてエストたちの元へ向かう。


「どうしたのですかリシャルト?」


「にゃあ?」


 猫じゃらしを手に首を傾げるエストと、ペチペチと猫パンチを繰り返していたスカーレットがつぶらな目で見上げてきた。


「いや、なんでもないさ」


 エストのサラサラの銀髪を梳き、頭を撫でる。


「ふああ……リシャルト、くすぐったいです」


 くーっと気持ちよさそうに目を細める契約精霊に顔が綻ぶ。


 腰を下ろしてあぐらをかき、ひょいっとスカーレットを持ち上げて膝の上に乗せる。そのまま頭から背中にかけて優しく撫でた。


 手触りのいい毛並みだ。


「にゃぁぁぁ〜……」


 気持ちよさそうに鳴くスカーレット。その隣でエストが頬を膨らませた。


「むぅ、スカーレットばかりズルいです。エストにも撫で撫でしてください」


 俺の隣に腰を下ろし、んっと頭を突き出してくる契約精霊に苦笑する。


「わかったわかった。ほら」


 左手でスカーレットを撫でつつ、右手でエストの頭を撫でる。


 相変わらず表情に然したる変化は見られないが、どこか満足げな様子だ。


「エストは甘えん坊だな」


「リシャルトの手は心地良いのです。胸の辺りがポカポカします」


 そういえば、妹も似たようなことを言っていたな。撫でられると胸がほっこりすると。


 俺には相手の心を落ち着かせる何かがあるのかもしれない。


 しばらく精霊たちと和んでいると。


「ちょっとリシャルト! なに一人我関せずって態度とってんの!」


「そうよ、当事者の一人でもあるのだから。こっちに来て」


「はぁ……わかった」


 ぷんぷんと肩を怒らせる二人に腕を引かれ、テーブル席に座らされた。


 エストも後ろからついてきて、なぜか俺の膝の上に座る。


「なっ……」


「あら……」


 目を吊り上げる二人。エストが膝に乗ってきたのは初めてだ。


「どうした?」


「いえ、リシャルトの膝に乗ってみたかっただけです。……ダメでしたか?」


 珍しく不安そうな目で見つめてくる。


「いや、別にダメなわけではないが。座り心地はあまりよくないと思うぞ?」


「そんなことはあ
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ