マザーズ・ロザリオ編
挿話集
ダンジョン・デート
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とされ、1本は今無力化された。最後の腕が俺に迫ってくる。
オートガード《焔鎧》が発動し、突破されながらも威力を大幅に減衰。
「ふんっ……!!」
ゲシッ、と蹴りで拳を受け止め、後方のユウキに指示を出す。
間髪入れず横を小さな影が駆け抜ける。ユウキは途中で床を蹴ってジャンプし、壁をウォールラン。ボスの後方に回り込むと、弱点である首筋に剣を一閃。
「グオォォォォォォ!?」
頭上に表示されていた三段HPバーの内、最後の半分以上残っていた物が一瞬にして消滅した。戦闘時間、3分。
「中々いいな」
「ホント!?」
先程の3層の戦闘後にユウキに言ったのは1つ―――『弱点を狙え』。その時ユウキは俺の本意を察する事無く、軽い調子で頷いた。
そして次に遭遇した3層ボスの所でハタ、と気付いたのだ。『何処が弱点なのか』、と。
探し方は簡単だ。Mobによって傾向は異なるが特徴は大別して3つ。
あえて堂々と誇示しているか、その部分をターゲットにしているプレイヤーに絶対に見せないように動き回っているか、もしくは最も強固に守っている場所の付近だ。
これもまた茅場の拘りなのだろうが、事細かに動作が設定されている。
―――と言えば簡単に聞こえるが、初見Mobの弱点を見破るのは意外な程難しい。当然の如くフェイクがあるし、何より狙いにくい位置にあるのが常だからだ。
それらの事を俺は一切ユウキに教えなかった。その意図は自覚による考え方の改革。外から全てを与えるのではなく、ユウキの中に埋まっている潜在能力、感性、直感を引き出すためにキッカケを与えるだけに過ぎない。
ユウキは恐るべき集中力を発揮し、短時間でそれらの技術を我が物にしようとしている。
「さ、次だ。行こう」
「うん!」
奥の重厚な扉が開いていき、階段が現れる。外から見た感覚では恐らく塔は10階層―――残り、3層だ。
「ね、レイ……」
「ん?」
階層を上がった先に迷路は無く、ひたすら長い螺旋階段が続いていた。とすると次に戦うのはこのダンジョンのラスボスだ。
俺としてはもう少しユウキに新しい感覚の経験を積んで欲しかったが、致し方ない。そんな事を考えていた時、ユウキが珍しく遠慮がちに声をかけてきた。
その彼女の一言は俺が全く予想していなかった言葉だった。
「あのね、ボク……メディキュボイドの、開発者の人のこと……知りたいな」
「…………っ!?」
「……螢は、知ってるよね」
恐らく、ユウキ――木綿季は知っているのだろう……それも一般に知られている開発者、神代凛子ではなく…………茅場晶彦の事を。彼が作った鋼鉄の城の事。そして―――
「話してくれないかな?……現実世界のその人の事、《ソードアー
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