マザーズ・ロザリオ編
挿話集
ダンジョン・デート
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2026年2月初頭。
アルヴヘイム・ウンディーネ領三日月湾沖に出現した小さな島。それは飾り気の無い人工の塔がポツンと建っているだけの島だった。新ダンジョンという事でウンディーネの情報屋プレイヤー5人パーティーが向かうも一階フロアで壊滅。
翌日、領主直属の精鋭3パーティーという過剰とも言える戦力が投入されたが、成果は挙げられずに撤退。
新たな上級ダンジョンとして指定されたその島の存在は瞬く間にアルヴヘイム中に響き渡った。
「――――♪」
「…………」
指が鼻歌に合わせてトントンと俺の頭を叩く。何の歌だか曲だかは分からないが、独特のリズムで弱い振動が脳天を突く。
別に痛いとか鬱陶しいわけではないが、今は勘弁して欲しかった。
央都アルン中央広場、東エリアに続く大通りのど真ん中。そこを俺はユウキを俗に言う肩車をしながら歩いていた。
男女が連れだっているのは別に珍しくない。アルンは観光都市でもあるため、カップルが他の中立都市や種族領都市より多いのは事実だ。中立都市によく見られる種族混成型のパーティーメンバーやコンビという線もあり得る。
例外として知り合いの《最強夫婦》がこういった事をしていると目を向けられる。これは妻の方は妖精郷においても屈指の美人で、片やその夫もデュエル大会で上位常連という猛者、という『いい意味で』の知名度が関係する。
しかし俺達の場合、ユウキは《絶剣》としてアクティブなプレイヤーに有名、そして紛うこと無き美少女だ。これもいい意味で知名度が高い。
対して俺はというと。
新生アインクラッド攻略組の大規模ギルドと因縁多数、PK専門プレイヤーと因縁多数、ついでに彼らのビンゴブック上位ランカー、etc。と、『悪い意味』で有名だ。
―閑話休題―
で、何が言いたいかというと。
「あの、ユウキさん。頼むから街中で肩車は勘弁して下さい」
「えー……。だってこの間アスナもキリトにやってもらってたよ?」
あの年中脳内お花畑夫婦め……。人前でやるなよ。今の俺の事だけど!
「ところでさ、レイ」
「……何だ?」
「新しいダンジョンがウンディーネ領沖にできたんだって、行こ!」
……なに無茶な事を可憐な声で仰っているのだろうかこの子は。
「ねぇってばー……ひゃん!?」
がし、と肩の上のユウキを掴んで持ち上げ、地面に下ろす。
さっきの奇声は状況から察するに……多分掴んだ場所が脇腹というユウキの防具の構造上、地肌が露出している部分―――つまり柔肌をがしっとやってしまった訳だ。
端的に言うと、紛うこと無きセクハラだ。だが、気にしない。
「それってアレ
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