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銀河親爺伝説
第五話 誓い
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ゃねえな、上の連中は俺の実力を認めたわけじゃねえ。他に狙いが有る、俺はそう思っている」
「他に狙い?」
「お前も大将に昇進した、だから気付いていないようだな」

ラインハルト様が困惑した様な表情で私を見た。私にもよく分からない、一体何が有るのだろう。
「この前の戦いではほんの少しだが俺の攻撃が早かった。だが俺の艦隊は兵力が少ない、勝敗を決めたのはお前の艦隊の一撃だ。あれで勝負は決まった、俺の見るところ武勲第一位はお前だろう」

ラインハルト様がまた困ったような表情を見せた。あの戦いはラインハルト様にとっては不本意な戦いだった。ノルデン少将との遣り取りでほんの少し攻撃が遅れた、そういう思いが有る。
「否定できるか?」
「……まあそうかもしれない」

「上はそれを認めたくないのさ。だから俺を大将に昇進させたんだと思っている」
「閣下、それはどういう意味でしょう?」
私が問い掛けるとリュッケルト大将がラインハルト様と私を見て”分からねえか”と呟いた。

「いいか、同じ大将昇進でも俺とミューゼルじゃ意味が違うんだ。本来なら俺は昇進できない筈だ、兵卒上がりだからな。それが昇進した、つまり上の連中は武勲第一位はお前じゃなく俺だって言ってるのさ。それもかなり差が有ると言っている。俺の力で帝国軍は勝ったと言ってるんだ」

ラインハルト様の表情が強張った。
「ミュッケンベルガー元帥は自分の直属部隊が武勲を上げた事にしたかった、俺の武勲を小さいものにしたかった、そういう事か……」
「そういう事だ。ほんの少し俺の攻撃が早かったからな、お前は俺に続いただけ、大した事は無い、そういう事にしたいんだろう」
「……」

「おそらく、皆が俺の噂をするはずだ。お前の事は殆ど話題にもならんだろうな。”ミューゼル? そう言えば昇進してたな”、そんな感じだ」
「姑息な!」
ラインハルト様が吐き捨てた。身体が小刻みに震えている。そんなラインハルト様をみてリュッケルト大将が首を横に振った。

「怒ってる場合じゃねえぞ、ミューゼル。そんな暇はねえ」
「どういう意味だ?」
「今回の昇進の一件、ミュッケンベルガーだけじゃねえ、エーレンベルク軍務尚書も絡んでいる。或いはシュタインホフ統帥本部総長も絡んでいるかもしれん」

ラインハルト様と顔を見合わせた。確かにそうだ、人事は軍務尚書の管轄、リュッケルト大将を昇進させるにはエーレンベルク元帥の同意が要る。武勲を上げたからでは無くラインハルト様を抑えるために昇進させようとミュッケンベルガー元帥は持ちかけたのかもしれない。

「今回の勝利でお前は目障りな存在だと思われているんだ、もっと露骨に言えば自分達の地位を脅かす危険な存在だと思われている。メルカッツ大将を見れば分かるだろう?」
「……ああ」

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