第五話 誓い
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乱軍に叩き潰されるかもしれねえしトール・ハンマーの巻き添えを喰うかもしれねえ、死ぬ確率は高かった。お前さんは出来たが他の奴なら出来たかどうか……、俺なら御免だな”
“ミュッケンベルガー元帥は自分の部下に命じる事が出来なかった、そういう事か……”
“その通りだ。或いは遣らせようとして部下に無理だと反対された可能性も有る。だからミュッケンベルガー元帥は俺を直属にしたのさ。無茶な命令で潰しても惜しくねえ俺をな。おまけに潰してもどっからも苦情は出ねえ、おあつらえ向きだよ”
“……”
“まあ考えすぎかもしれねえよ。しかしミュッケンベルガー元帥の立場は盤石とは言えねえ事は事実だ。メルカッツ提督の方が司令長官には相応しいなんて声も出てるし焦っているとも考えられる。無茶をしなけりゃ良いんだが……、首筋の寒い話だぜ”
俺もキルヒアイスも爺さんの考えを否定する事は出来なかった。イゼルローンではメルカッツ大将も参戦していた。俺の後方攪乱が上手く行ったのもメルカッツ大将が反乱軍を上手くあしらってくれた事が一因としてある、本来なら昇進してもいい。しかし、大将のまま据え置かれている。ミュッケンベルガーが故意に彼の働きを過小評価した可能性は否定できない。
そして今回の一件、やはり爺さんの考えが当たっているのかもしれない。ミュッケンベルガーは自分の地位を守るのに汲汲としているように見える……。
「俺に武勲を立てさせたくないと思っているという事か……」
「まあそこまで露骨ではないかもな。ちょっとぐらい武勲を上げたからといって良い気になるな、お前なんかいなくても勝てる、黙って後ろで見ていろ、そんなところかもしれん」
馬鹿げている、そう思った。俺と爺さんの戦力だけで一万五千隻になる。それを遊兵化させるとは……。
「そんな不満そうな顔をするな。見方を変えれば俺達は予備だ、出番は有るかもしれんさ」
「まあそうだけど、上に使う気が無いんじゃ……」
俺が呟くと爺さんが苦笑を漏らした。
「始まる前から悲観してどうする、嘆くのは終わってからでいい。使う気は無かったが使わずに負けるよりはまし、予備を使うってのは大体がそういうもんだろう」
「まあ」
爺さんの言う通りだな。負けるよりはましか……。慰めかな、あるいはミュッケンベルガーが苦戦すると見ているのか、確かに未だ戦闘は始まっていない、くよくよするのは早いか……。
■ 帝国暦486年 2月 3日 ティアマト 旗艦タンホイザー ラインハルト・フォン・ミューゼル
目の前のスクリーンには帝国軍が混乱する様子が映っていた。反乱軍の一部隊が戦場を無秩序に動いて帝国軍を攻撃しているのだ。そして帝国軍はそれに対応できずに徒に混乱している……。馬鹿げている、後退して反乱軍の疲労を待てばよい
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